そして注目すべきは宿泊者の中でも、外国人観光客の増加が、近年著しいこと。2015年では、前年比16.9%増の7万人となっている。マリオット・インターナショナルの担当者によると「外国人が求めるものを日光は持っている」のだという。

日光といえば、江戸幕府を開いた徳川家康をまつる日光東照宮がある。世界文化遺産に登録され、世界的な知名度がある。近くの鬼怒川は有名な温泉郷。自然が豊かで、春は桜、夏は涼しく避暑地としての利用もでき、秋は紅葉、冬はスキーも楽しめる。大都市東京からも近く、JRや東武鉄道を利用すれば、日帰りでの利用もできる関東の身近なレジャースポットといえよう。

マリオット・インターナショナルのポール・フォスキー氏(左)と写真撮影に応じる東武鉄道の根津嘉澄社長(右)

外国人から見ても同様で、日本の四季それぞれのイベントや温泉、歴史的建造物の鑑賞などが、一度に楽しむことができる点が日光の魅力のようだ。

爆買いの失速が言われるようになった今年だが、外国人観光客の増加傾向は変わらない。いわゆる東京、大阪、京都といったゴールデンルートに訪問先が集中していたが、そこを起点として、地方を訪れるという分散化が進んでいる。日光は、東京から東武鉄道やJRで2~3時間で行けるから、まさに消費を呼びこむ絶好のタイミングといえる。

東武鉄道の根津嘉澄社長も会見で「より長く滞在してほしい」と新設されるホテルへの思いを語った。より魅力ある宿泊施設をつくること、観光資源を増やし、その価値を高めることは、宿泊者数を増やし、さらにその滞在日数を増やすために、今まさにやるべきことなのだ。

日光の観光業を強化した先には……

そしてその先に考えていること。同社の鉄道沿線には、東京の新しい観光名所、東京スカイツリーと古くからの東京観光の名所である浅草がある。浅草から日光へは、1本で行くことができるため、東京で下町観光をした後に、東武鉄道に乗って日光へ、という流れをつくる狙いもあるそうだ。

実際、浅草・上野と日光の社寺を巡る御朱印ラリーを開催し、日光への誘客を図るといった取組みはすでに始まっている。日本有数の観光名所を複数抱えている東武の強みを最大限に生かす構想だといえよう。

果たして日光は外国人観光客の宿泊を、さらに増やすことができるだろうか。そして浅草から日光へというのが定番化するだろうか。今後の展開が注目される。