“爆買い”の代名詞ラオックスの第2四半期決算で営業利益、経常利益ともに90%以上も減り、それを受けて業績予想を下方修正した。訪日外国人観光客の1人当たりの旅行支出が減少する中、ラオックスは爆買い依存から脱却できるのか。

営業利益、経常利益ともに90%以上減

2016年12月期第2四半期決算を公表したラオックス。免税品などを数多く取り扱う量販店である同社は、“爆買い”の代名詞的な存在として大きく知名度を上げた。売上高は、前年同期比22.4%減の350億6200万円。営業利益は90.9%減の4億5400万円。経常利益は、91.6%減の4億1700万円だった。さらに業績の悪化に伴って同社は、16年度の業績予想を下方修正した。営業利益、経常利益ともに当初の予想よりも約80%減少した12億5000万円にとどまっている。

6月30日東京・銀座

個人旅行の増加がもたらすもの

決算の大幅な減収減益、そして業績予想の下方修正に至った最も大きな要因。それは、国内の量販店における中国人“爆買い”動向の変化だ。日本政府観光局が発表している訪日外国人観光客数は引き続き増加し続けている。さらにその中でも中国人観光客は4月から3カ月連続で50万人を超えており、国別で1位、訪日外国人観光客の中でも、ひときわ存在感を放っている。しかしながら、リピーターが増加し、それに伴って個人による旅行が増加し、反対に今まで、大型のバスで免税品店を回っていた団体客が減少している。そのため、観光庁が発表している訪日外国人消費動向調査では、全体で増加傾向が続くものの、1人当たりの旅行支出にすると、2015年7月~9月期を境に減少傾向に転じている。

これは先に述べたように、リピーター、個人旅行が増加し、訪日の目的が買い物だけでなくなったことや、免税品目の拡大によって売れ筋商品が、高額商品から単価の低い商品にシフトしたことなどが挙げられる。

この国内全体の傾向がそのまま“爆買い”の代名詞である同社の売れ行きに影響しているのはいうまでもない。店舗を訪れる訪日外国人観光客の平均単価は、2015年11月から9カ月連続で前年同月比割れとなっているのだ。

さらに、営業利益の減少については、昨年は中国人観光客の“爆買い”で粗利率の高い商品が大量に売れたのに対して、今年は、顧客の志向・行動様式の変化に伴って比較的粗利率の低い商品の需要が高まったことなどによる売上高の減少、加えて事業拡大のための人件費や店舗拡大による地代や家賃の増加、そして「モノ」と「コト」の複合施設と位置づける千葉ポートプロジェクトの準備など成長への投資コストが増加したことも要因となっている。

読み違えた“爆買い”急ブレーキ

2015年12月期通期連結決算短信の次期の見通しの中で「中国を初めとしたアジア新興国の経済成長率は大幅な減速傾向が見られますが、中長期的な成長トレンドは持続しその消費購買力も徐々に拡大していくものと思われます」と記述している同社。不安要素も認めていたが、急激なトレンドの変化は折り込んでいなかったのだろう。