半導体市場調査企業である米IC Insightsは、「IC市場ドライバー2017年版」と称するレポートを11月末に発行するが、それに先立って先般、その要約版を発表した。

それによると、半導体の6大アプリケ―ション(用途)のうち、2015年から2020年まで年平均成長率4.9%(金額ベース)と最も大きな成長率を示すのは車載電子システムだという(図参照)。

消費者は、新車に安全で便利なシステムの搭載を求めており、特に緊急時の自動ブレーキ、車線逸脱警報、死角検出、バックアップ・カメラなどを望んでいるとのことで、半導体サプライヤにとってこれは良いニュースであると いえる。というのは、さまざまな車載システムを構成するのにアナログICやマイコン。多くのセンサが必要だからである。

図 世界規模の電子システム市場の2015~2020年の年平均成長率(ドル換算金額ベース。コンピュータにはタブレットを含む) (出所IC Insights、2016年11月)

その他の主な注目点は以下の通り。

  • 車載電子システムが、2020年まで最も成長の大きな電子システムではあるが、全IC市場に占める車載ICの割合は2016年で7.9%であり、2020年でも10%に達しない。
  • 産業用/医用/その他の電子システムは、2020年までの年平均成長率(4.3%)が車載に次いで高い分野である。ウェアラブル・ヘルスデバイス、在宅健康診断、ロボット、IoTを促進するシステムがこの分野の成長のけん引役を務める模様。アナログICは2016年にこの分野向けIC売り上げの49%を占めると予測される。
  • 通信が、2013年に金額ベースでコンピュータ市場を追い抜いて、最大のIC利用市場に躍り出た。地域別では、アジア太平洋地域が、通信向けIC市場の67%(2016年)を占めるが。2020年には70%まで上昇する見通しである。
  • コンシューマ・エレクトロニクス・システム市場は2020年まで年平均2.8%で成長するだろう。ロジックICがコンシューマ用IC市場で最大のシェアを占めている。コンシューマIC市場は2020年まで年平均2.3%で成長すると予測される。
  • 世界官・軍用電子システム市場は2015-2020年に年平均2.5%で成長する。この分野のIC市場規模は、2016年に25億ドルと予測される。しかし、全IC市場(2900憶ドル規模)の0.8%でしかない。地域別では、米国が世界最大の軍用システム向けIC市場であり、2016年の世界IC市場の63%を占めている。
  • パソコン製品(デスクトップ、ノートブック、およびタブレット)の需要が低下しているために、コンピュータ・システム市場は、2020年に至るまで今までで最低の成長率(1.5%)を示すだろう。コンピュータ向けICの売り上げは、2015年に3%減少したが、2016年はさらに2%減少する見込みであるためだ。地域別では、アジア太平洋地域が、コンピュータ向けIC市場の66%を占めるが、2020年には71%へ拡大する見通しだという。