拡張性という点では、Touch Bar搭載のMacBook Proは4つのThunderbolt 3ポートを備える。少ない接続コードで電源、そして外部ディスプレイやRAIDシステムなど様々な周辺機器を利用でき、プロフェッショナルのニーズにも応えられる。

ポート類はThunderbolt 3と3.5ミリヘッドフォンジャックのみ、Thunderbolt 3は電源、データ、ビデオ/オーディオと幅広く対応できる

4つThunderbolt 3ポートで、5Kディスプレイ×2台、RAIDストレージといったクリエイターの環境をサポート可能

Thunderbolt 3以外のポートを省略したのは薄型・軽量を実現するためだけではない。USB-Cポート1つしかないMacBookに比べたら「ポートだらけ」だが、デバイスにつながるケーブルを最小限に抑えることで、ワイヤレス技術で様々なデバイスと連携し、クラウドを活用する未来にユーザーを導くのだ。

キーノートの最後に登場したのは、Touch Bar/Touch ID非搭載の13インチMacBook Proだった。”非搭載”と表現すると、Touch Bar搭載13インチモデルから機能を省いた低価格版のような印象になる。だから、ファンクションキー搭載13インチモデル(Thunderbolt 3ポート×2)と書くのが正確だろう。

MacBook Proはプロフェッショナルやクリエイター向けのMacBookである。パフォーマンスもそうだが、MicrosoftやAdobeが早くもTouch Bar対応を表明しているように、Touch Barは特にプロフェッショナルやクリエイターにとって便利なインターフェイスになるだろう。同時に、MacBook Proは、Appleが12インチのMacBookで示した、同社が考えるこれからのポータブルMacの条件も満たしている。そこで、MacBook Pro開発において開発チームに新たな課題が与えられた。MacBook Proの新しい設計で、MacBook Airを好むユーザーを振り向かせるような製品を作ること。そうして誕生したのがファンクションキー搭載13インチMacBook Proである。

13インチMacBook Airユーザーを満足させる薄さと軽さを実現、並べると同じ13インチでもMacBook Proの方がコンパクト

現行デザインになってから長い時間が経過しているが、MacBook Airは今もたくさんの根強いファンを抱えている。理由はなんといっても美しい薄型・軽量デザインだ。その点で、13インチのMacBook Proは13インチのMacBook Airに比肩する。重量はほぼ同じ、形状が異なるので厚みは単純に比較でいないが、体積は13%少ない。さらにMacBook Proは、ハイスペックなCPUとグラフィックスを搭載し、Retinaディスプレイであり、大きな感圧タッチトラックパッドとバタフライ構造のキーボードを備える。バッテリー駆動時間は最大10時間だ。価格は高くなる。だが、数年先のモバイル環境を見通したら、Pro品質の新しいポータブルMacへと進む価値はある。

左から12インチ(0.92kg)の「MacBook」、13.3インチ(1.37kg)のファンクションキー搭載MacBook Pro、13.3インチ(1.37kg)のTouch Bar搭載MacBook Pro、15インチ(1.83kg)の15インチMacBook Pro、これらがMacBookシリーズの新しいメイン・ラインナップ

Appleのオンラインストアで11インチのMacBook Airの販売は終了した。小型モデルは12インチのMacBookに引き継がれた。13インチのMacBook Airの販売は継続しているが、キーノートの説明を聞く限り、いずれMacBook Airはフェードアウトしていくだろう。しかし、MacBook Airという製品がなくなるとしても、薄型・軽量というMacBook Airの長所は、新しいMacBook Proの中に存在する。このようにして、ポータブルMacは定義と再定義を繰り返しながら、これから先も長い歴史を積み重ねていくのだ。