10月25日22時より、NVIDIAの最新GPU「GeForce GTX 1050 Ti」と「GeForce GTX 1050」を搭載したグラフィックスカードやゲーミングPCの販売が開始された。GeForce GTX 1050 Tiが139ドル、GeForce GTX 1050が109ドル。
NVIDIAのブログで「GTX 1050 Tiは10月25日に、GTX 1050は11月8日までに発売される予定」と微妙な言い回しとなっているように、GeForce GTX 1050 Tiが先行して登場し、GeForce GTX 1050は後から登場するようだ。発売に先駆けて、搭載カードを入手できたので、早速そのパフォーマンスをチェックしたい。
GeForce GTX 1050 TiとGeForce GTX 1050は、いずれもPascal世代のエントリーモデルとして投入される。前世代(Maxwell)のエントリーモデルである「GeForce GTX 750 Ti」と「GeForce GTX 750」が発表されたのが、2014年2月。手ごろな価格と消費電力から、自作市場において長らく人気を博したが、ついに世代交代となった。
GPUコアは"GP107"コアを採用。16nmFinFETによる製造や、最新世代のカラー圧縮技術、同時マルチプロジェクション技術(Simultaneous Multi-Projection)など、Pascal世代の他製品と同様の特長を備える。オーバークロック耐性も高く、NVIDIAのテストでは1.900MHzまでのオーバークロックにも成功したという。各カードベンダからOCモデルが豊富に投入されそうだ。
CUDAコア数は、GeForce GTX 1050 Tiが768基、GeForce GTX 1050が640基。Pascal世代のコンシューマ向けGPUでは、128基のCUDAコアで1基の「Streaming Multiprocessor」(SM)を構成することから、GeForce GTX 1050 Tiは6基、GeForce GTX 1050は5基のSMを搭載する計算となる。
また、"GP107"コアでは3基のSMで1基のGPC(Graphics Processing Cluster)を構成するようで、GeForce GTX 1050 TiとGeForce GTX 1050のどちらも2基のGPUを備える。メモリインタフェースは128bitで、メモリスピードは7Gbps、メモリ容量はGeForce GTX 1050 Tiが4GB、GeForce GTX 1050が2GBとなっている。既存モデルとのスペック比較は以下の通り。
■ 表1 既存モデルとのスペック比較 | ||||||
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製品名 | 1060(6GB) | 1060(3GB) | 1050 Ti | 1050 | 960 | 950 |
プロセスルール | 16nm | 16nm | 16nm | 16nm | 28nm | 28nm |
CUDAコア数 | 1,280基 | 1,152基 | 768基 | 640基 | 1,024基 | 768基 |
ベースクロック | 1,506MHz | 1,506MHz | 1,290MHz | 1,354MHz | 1,127MHz | 1,024MHz |
ブーストクロック | 1,708MHz | 1,708MHz | 1,392MHz | 1,455MHz | 1,178MHz | 1,188MHz |
メモリ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 |
メモリ容量 | 6GB | 3GB | 4GB | 2GB | 2GB | 2GB |
メモリバス幅 | 192bit | 192bit | 128bit | 128bit | 128bit | 128bit |
メモリスピード | 8Gbps | 8Gbps | 7Gbps | 7Gbps | 7Gbps | 66.6Gbps |
メモリ帯域幅 | 192GB/秒 | 192GB/秒 | 112GB/秒 | 112GB/秒 | 112GB/秒 | 105.6GB/秒 |
TDP | 120W | 120W | 75W | 75W | 120W | 90W |
補助電源 | 6ピン×1 | 6ピン×1 | - | - | 6ピン×1 | 6ピン×1 |
NVIDIAによると、最新ゲームを快適にプレイするには、高いグラフィックス性能が求められており、4年前のゲームと比べて、1080p/60fpsを実現するための性能はおよそ3倍になっているという。GeForce GTX 1050は、4年前のGPUである「GeForce GTX 650」比で3倍の性能を備えており、「Grand Theft Auto 5」や「Gears of War 4」などのAAAタイトルや、「Dota2」「OverWatch」といったe-Sportsタイトル、「World of Warcraft」に代表されるMMORPGを1080p/60fpsでプレイできるという。
また、TDP 75Wの低消費電力で、リファレンスの仕様では補助電源コネクタが不要なことから、旧世代PCのアップデートに好適という。NVIDIAでは、CPUを最新世代に刷新するよりも、旧世代のCPUを搭載したPCにGeForce GTX 1050 TiやGeForce GTX 1050を取り付けることで、大きな性能向上が実現できるとしている。