パナソニックは8月31日 (ベルリン時間)、ドイツ・ベルリンで開催される家電見本市「IFA 2016」の会場にて、次世代有機EL (OLED) テレビの試作機を参考出展した。本稿では現地から、同社のプレスカンファレンスとブースの概要をレポートする。

パナソニックのブースに展示された、次世代有機ELテレビのプロトタイプ

OLEDこそ現在もっともプレミアム

プレスカンファレンスでは、最初にパナソニック ヨーロッパの会長であるローラン・アバディ氏がスマートシティを実現するための取り組みを紹介し、次に「Future Living Berlin」と題されたパネルディスカッションが行われた。その後、パナソニック アプライアンス社 副社長の楠見雄規氏が登壇し、製品についてのプレゼンテーションを開始した。

AV家電では、1インチセンサーとLEICA DICOMARレンズを搭載した4Kカムコーダー「HC-X1」、Ultra HD ブルーレイプレーヤー「UB700」といった新製品を披露。続けて、テレビ製品の取り組みについて話が及んだ。

楠見氏は、パナソニックがプラズマ、有機EL、液晶といった異なる3種類のパネルでそれぞれ製品を作り上げ、高い画質を提供している世界で唯一の企業であることを喚起した。そして現在、次世代有機ELのリファレンス製品を開発中であると明かした。

プラズマ、有機EL、液晶と3種類の製品それぞれが高い評価を得ている

パナソニックのテレビの画質を支える要素は次の3点。パネルをベストに構成する技術、60年以上の歴史に基づくプロセッサー技術、ハリウッドのプロによるカラーチューニング

次世代有機EL製品では、パナソニックの技術を結集して黒の再現性を高めるという。図の左側では、他社の製品では暗い部分の階調性に難があると示した

ブースでは、4K HDR製品の展示が目立つ

楠見氏が「ユーザーにもっともプレミアムな価値を届けられる」とアピールする次世代有機EL製品は、従来よりも色域を拡張し、ピーク輝度を高め、黒の再現性をさらに追求したもの。今冬ごろに新しい情報を伝えるとのことだが、日本国内への投入を探っている可能性もありそうだ。

カンファレンスとブースの様子

スマートシティの事例として、藤沢市との取り組みを紹介するパナソニック ヨーロッパ 会長のローラン・アバディ氏。スマートシティの市場規模は2020年に1兆5,000億ドルまで拡大するという

ブースにはスマートシティの展示コーナーも

カンファレンスで各国のメディアからどよめきが起こった自動折り畳み機「ランドロイド」。確かに驚くべき製品だ

4Kカムコーダー「HC-X1」。プロやハイアマ向けの新製品だ。光学20倍ズームレンズを搭載している

Ultra HD ブルーレイプレーヤー「UB700」

Technicsのターンテーブル「SL-1200GAE」は完売御礼。今後は「SL-1200G」でファンの期待に応えていく

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との協業も発表された。4K・HDR・ハイレゾ技術を駆使して、コンサートホールにいるかのようなライブ体験を家庭や車向けに実現させていく

カンファレンスでは、ベルリン・フィルの取締役でソロ・チェロ奏者でもあるオラフ・マニンガー氏がスピーチした

黒白で渋い演出のメンズグルーミングコーナー。髭剃りのラムダッシュやヘアカッターなどを実際に試すことができる。日本の鋼の技術をアピールするため刀も飾られている

スチームオーブンレンジなどのキッチン家電や日本で人気のビューティ家電も欧州向けに

デジタルカメラはPhotokina前の静けさか