ユニクロが挑むアパレルメーカー永遠の課題

シンプルで長く着られるが、着るたびに新鮮で、それでいて時代の空気を取り入れたような服を作るというのは、どんなアパレルメーカーにとっても困難な命題だ。勝田氏も「(ユニクロの力だけでは)難しい」と率直に認めるが、LifeWearを追い求める同社は、この難題に挑み続ける必要がある。

世界中で売れる究極の日常着は、日本国内だけで考えていても、あるいはユニクロ社内だけで考えていても、容易に生み出せるものではない。そこで必要となるのは、海外からの視点や社外のデザイナーが持つ感性を取り入れることだ。

商品力向上に外部の才能は不可欠

ユニクロは東京、上海、ニューヨーク、ロサンゼルス、パリにR&Dセンターを構え、世界中で売れる服とは何かを複眼的に探っている。今回はパリ拠点にルメール氏を迎えたが、世界各地の拠点で今後、デザイナーを迎えての取り組みが進む可能性についても勝田氏は否定しなかった。

ルメール氏はユニクロに何を残すか

自身のブランドを展開しているルメール氏が、いつまでもユニクロのディレクター職に留まるとは考えにくいが、ルメール氏がユニクロに持ち込むものは、何らかの形で同社に残るだろう。世界各国の拠点で、様々なデザイナーを迎えて仕事を進めることができれば、ユニクロでは学びの機会が増えて、商品力も向上していくはずだ。

外部デザイナーを迎えて立ち上げた新ラインからは、定番商品が生まれることもあるだろうし、ユニクロの定番商品が、外部デザイナーの力によって新たな価値を獲得する可能性もある。世界で売れる服を作るのがアパレル世界一への早道だとすれば、商品力の要となるR&D拠点に外部の才能を取り込む今回のような取り組みは悪くない方法だといえるだろう。