実際に隅田川と日本橋川、それぞれの川沿いを眺めてみると、京都の川床が店舗でひしめき合っているのに対し、東京の川沿いは飲食店の間にマンションや会社のビルが並んでいる。

奥でテラス席がせり出しているのが「Nabeno-ism」の“かわてらす”。手前にはマンションやビルなどが立ち並ぶ場所

「地域団体や近隣住民の方への事前説明は、事業者に一任していますが、お店が川までせり出すということは、近隣の方たちにとってみるとやはりお店の騒音や視線の問題は気になるところだと思います」(冨澤さん)。

「地元のゴミ拾いに参加したりと、事業者の方たちが地域に根付くことが大事。そうして関係性を築いた上で、 “かわてらす”が地元にとってプラスになると納得してもらう必要があります」(大田さん)。

他にも、テラスに植栽を置いたり、営業中は曇りガラスの壁を設置し、営業時間外は壁を解放するなど、住民生活や周辺の景観を損ねないための店舗側の努力も見られるという。また、地元の理解以外にも、“かわてらす”の設置、運営する事業者にとっては、かわてらす設置等の予算に見合うだけの利益が見込めるかなどの課題もある。

「隅田川と日本橋川の実験を参考に、課題を確認し、次の展開を考えていきたい」(冨澤さん)。

現在日本橋川の参加店舗を募集中。隅田川はすでに募集期間を終了している。東京オリンピック開催の頃には、都内が再び“水の都”となるのか。“かわてらす”の社会実験の行方に期待したい。