都内某所のハウススタジオに集合して「女性はこう撮られたい!! ポートレート撮影術」がスタートした

写真に自信を持っている男性全員がショックを受ける言葉を聞いた。「女性がうれしいと感じるポートレートは、男性目線で見た写真の上手い下手とは異なることが多いのです」と語るのはフォトグラファーの佐藤倫子さん。いったいどのようなポートレートが女性に好まれるのか? それを会得するべく、佐藤倫子さんが講師を務めるニコンカレッジ「女性はこう撮られたい!! ポートレート撮影術」の現場に乗り込んだ。

勢いよく「乗り込んだ」などと書いてしまったが、ポートレートだからカメラはフルサイズの一眼レフ、レンズはやっぱり85mm F1.4か300mm F2.8か、などと気張る必要はなく、ニコンの一眼レフボディを持参すれば、いろいろな交換レンズを貸してくれるという贅沢な講座だった。

まあ実際、レンズを持たずに行ったのは私ぐらいで、他の参加者は愛用のカメラと交換レンズで完全武装。参加者は20名で10時から13時30分までの3時間半、都内のハウススタジオを借り、プロのモデルさんを撮影するというシステムだった。

筆者が使用したカメラはニコン「D750」、交換レンズは「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR」と「AF-S NIKKOR 24mm f/1.4G ED」

講座には10本以上のニッコールレンズが用意され、自由に借用できた。カメラボディを試せる場合もある

女性に好かれるポイントは3つ

受講者はハウススタジオの中で好きな撮影場所を決めて、男性目線で撮った「自分好みの写真」と女性に贈るための「プレゼント用の写真」の2パターンのベストショットを提出する。撮影に入る前に佐藤さんが、女性が撮られてうれしいポイントを3つ伝授してくれた。

ハウススタジオにはベッドや観葉植物、小物が準備されており、雰囲気のある写真が撮れる。これは一番人気のベッドルーム

講師の写真家・佐藤倫子さんは、ポーズの付け方も的確で参考になる。「写真の撮られ方教室」も開いているとのこと

ポイント1. 女性は細く見られたい

男性から見て十分スリムに思える女性でも、撮影時はより細く写るように気を配ること。ポーズやアングルによっては、女性本人から不評を買うこともある。

特に「二の腕を太く撮るのはNG」。無意識に撮ると (撮られる女性から見て) 太く写りやすいので、細く見える角度を探す。また、腕を体に密着させないのもポイント。肘を後ろに引いてもらうと脇が開き、体と腕の間に三角形の隙間ができるので、ウエストのラインも出てくる。

腕を組む時は、カメラから遠い方の腕を上にすると、手前の腕が視覚的に大きく見えずに済む。手を組むときはボールを持つイメージで、丸を作るようにしてもらうとよい。一般的に男性のほうが女性より背が高いので、男性の目線の位置からそのまま撮ると、アングルが高すぎて足が短く写る。ローアングルのほうが足が長く、小顔に撮れる。

ポイント2. 女性はお肌ツルツルに見られたい

最近のデジタルカメラは高解像度なのでお肌の毛穴まで写ってしまう。しかし、これは女性によろこばれるはずがない。毛穴、シミ、くすみ、そばかす、シワなどは極力隠したいもの。つまり質感ではなく肌質が重要。できれば順光は避けたいぐらい。

また、男性が思っているより、女性は肌を白く見せたいもの。ホワイトバランスに気を配りつつ、普段の感覚よりも露出を1/2~1段ぐらいプラスにして、明るく撮ってみるのがおすすめ。今回は自然光メインだが、レフ板やストロボを使って瞳にキャッチライトを入れてもいい。

ポイント3. 女性はいい所をほめられたい

撮影するときは、モデルさんのいい所をほめてあげること。コミュニケーションをとらずに撮影すれば、より豊かな表情を引き出せます。撮影しながら、そのモデルさんのチャームポイントを一瞬で見抜く力を身に付けたい。

バリエーションを撮るためのコツは、まず顔の向きに変化をつけてもらうこと。正面向きから、右横向き、もう少し横向き、少し上向き、少しうつむく、など顔の向きを指示するだけでも表情は変わる。

参加者1人当たりの持ち時間は5分。その間はカメラマン気分を味わえる。他の受講者も邪魔にならない範囲で狙っており、撮影会のような雰囲気になる

1階リビングルームの椅子も人気があった。ちょうどいい位置に窓があって光が差し込むのが良かったのだろう

窓からの自然光と室内の電球を生かすとこのような構図でも撮れる。これは他の受講者の隣で撮影した。カメラ:D750 レンズ:AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR 1/200sec F2.8 +0.33 ISO140 AWB 70mm