原因は心の問題? 大戸屋騒動の今後は
一般的に、企業経営を巡って創業家と経営陣が対立するのは、経営方針に関する考え方の違いを理由とするケースが多い。そういった問題であれば、取締役会で議論したり、最終的には株主総会に諮ったりすることで解決策を探ることができる。ところが、大戸屋のケースは“心の問題”に属する要素が多分に混じっている印象だ。
郷原氏によると、創業家は現経営陣に対し、文書を送付したり、提訴を行ったりといった具体的なアクションは現時点で起こしていないという。6月の株主総会でも、創業家から質問などの具体的な意思表明はなかった。株主総会で賛成多数となったため、大戸屋の現経営陣は会社法的に全く問題がない状態なのだ。
「行き違い」、「誤解」、「感情的対立」。委員会設置を発表する記者会見で、郷原氏が使用した言葉から考えると、同氏は大戸屋の問題に心の問題が深く影響していると見ているようだ。対立が深刻化していった経緯が明らかになれば、誤解が解けて、両者による対話の糸口も見つかるかもしれない。「当事者間で十分なコミュニケーションが取れて、問題が解決できるのであれば、それが一番望ましい」が、「(課題を解決するための)話し合いが機能しない状態」であることが委員会設置の背景だと郷原氏は語る。
セブン&アイ・ホールディングス、出光興産、クックパッドなど、最近は企業経営を巡る“お家騒動”を耳にする機会が増えている。経営方針を巡る対立は株主総会などで解決すべきで、今回のように第三者委員会が間に入る手法が、「創業家対経営陣」問題の解決策として、あらゆるケースに有効とは郷原氏も考えていないというが、外部の視点が企業の内紛解決につながる可能性があるのか、委員会の活動には今後も注目したいところだ。調査は2カ月間をめどに実施するという。