ここからは、各モデルのサウンドインプレッションをお伝えする。なお、試聴にあたってのプレーヤーには、ソニーのウォークマン「NW-ZX100」を使用した。

ATH-CKS990BTは、SOLID BASSシリーズではあるが、ことさら低音を強調した音作りはされていない。若干低域が強めだが、中域、高域ともきちんと出ており全体のバランスは良い。解像度はこのクラスとしては高め、音場もイヤホンとしては広めだ。バランスの良い音作りがされているため、比較的どのようなジャンルにも合う。

たとえば、このクラスのイヤホンが比較的苦手とする交響曲などもいける。カラヤンがベルリンフィルと1960年初頭に録音した「ベートーベン交響曲 第3番 英雄」を聴いてみる。ヘタなイヤホンで聴くと音が凝縮され奥行もなくノッペリした感じとなるのだが、ATH-CKS990BTでは音の強弱をしっかりと再現できる。

女性ボーカルもイケる。平原綾香の「威風堂々」を聴くと、解像度が高く細かいニュアンスまで聴き取れる上に、全域がバランスよく出ているため、低域から高域までよく伸びる。重低音がキモのハードロックなどもよく、レッド・ツェッペリンの「Black Dog」は、ジミー・ペイジの重低音リフが迫力を持って再現。このほか、ロックやジャス、クラッシックのピアノ曲、歌謡曲などを聴いてみたが、特に合わないというジャンルはなかった。

ATH-CKS550BTは2色展開。写真はホワイトモデル

ATH-CKS550BTは低域がやや強調されており、ひずんだギターがメインのロックがとてもしっくりきた。ニルヴァーナの2枚目のアルバム「Nevermind」では、ほどよい解像度の甘さが功を奏し、エネルギッシュに迫ってくる。曲の持つ切迫感、焦燥感、衝動などがビシビシと伝わってくるのがよい。音の分離が良すぎると迫力や疾走感、グルーブ感が失われてしまうような曲には、ATH-CKS990BTよりも合う気がした。

なお、解像度が甘いというのはあくまでも上位モデルと比べたもので、オーディオ的な基本性能はこのクラスのイヤホンとしては高い。幅広いジャンルを楽しみたいならATH-CKS990BT、ロックやポップスのノリを楽しむのならATH-CKS550BT、というのが筆者の結論だ。

実際に触れてみて魅力を感じたのは、使い勝手のよさだ。装着感がよく、各種コントロールボタンも操作しやすい。また、音質も同じ価格帯のイヤホンと比べると高いレベルにあるだろう。iPhoneからイヤホンジャックがなくなると噂され、Bluetoothイヤホンが注目されている今、ぜひ選択肢のひとつにしてもらいたい製品だ。