低価格店から戻り始めた顧客
「(顧客の)使い方に応じ、技術を駆使してベストのメガネを提案できる点は現代の方が優れている」。星崎社長によると、技術力の向上や顧客データベースの蓄積により、同社の検査・商品提案の能力は以前に比べ大幅に高まっている。一度は低価格販売店に流れた顧客もメガネスーパーに戻り始めているそうで、その状況を星崎氏は「7,800円(のメガネを買い)に行った人が、(メガネスーパーが取り扱う)3万5,000円に戻った」と表現していた。
アイケアカンパニー路線が奏功し、業績が回復したメガネスーパー。同社は眼の健康寿命延伸に向けた総合的な事業展開に向け、幅広いビジネスモデルを思い描いているようだ。
単なるメガネ屋からの脱却を目指して
例えばメガネスーパーで検査を受けた顧客に疾病の疑いがある場合は、提携する眼科を紹介して問題の根治を手助けする。同社では将来的に、医薬品やサプリメントも取り扱うようなビジネスモデルを構築する方針。社内では医薬品の取り扱いに向けて資格取得を志願する社員も出始めているという。
メガネスーパーの最大の強みは700万件を超える顧客データだと星崎社長は語る。このデータベースを核とし、アイケア分野で合従連衡を進めていくのが同社の考え方。同業他社のM&Aや製薬、医療機器、ITインフラ企業といった関連企業とのアライアンスなどを通じ、アイケアを軸とする企業連合を組成することを成長戦略の柱に据える。
アイケアの概念が一般に浸透しているとはいえないが、メガネスーパーのアイケアカンパニー路線は今のところ成功しているように見える。視力の良い人でも遅かれ早かれ老眼になることを考えると、しっかりした検査を顧客とのタッチポイントに据える同社は、初めてメガネを作る人にとっても安心できる店舗として映りそうだ。顧客が増えればデータベースが充実するという好循環につながる。安売り勝負から身を引き、新たな成長戦略のもとで独自路線を歩みだした同社。アイケアの概念を広く普及させることができれば、メガネ市場での存在感も再び強まっていくだろう。