近年は横ばいが続くメガネ市場にあって、9年ぶりの黒字転換を達成したメガネスーパー。低価格販売店が勢力を伸ばすなか、苦戦を強いられてきた同社が業績を反転できた理由とは。

低価格店の増加で縮小するメガネ市場

メガネ市場が縮小した背景には、メガネ販売店の減少やコンタクトレンズの普及といった様々な要因があるが、なかでも低価格専門店の増加が与えた影響は大きい。安いメガネが増えることで販売単価が下がり、市場全体の規模が縮んだのだ。低価格店の伸張に押される形で、メガネスーパーも2006年度からは赤字を出し続けてきた。

20年前に比べると大幅に縮小したメガネ市場。近年は高齢化や情報化社会の進展に伴う眼のトラブル増加により、高付加価値・高単価メガネが見直され始めているという(画像はメガネスーパーの2015年度決算資料より)

メガネスーパーの決算を見ると、2014年度には売上高142.91億円、営業損失8.1億円だった業績が2015年には売上高157.07億円、営業利益5.23億円へと好転している。「(安さで勝負するという)ゲームに入り込んだのが間違い」。都内で開いた事業戦略説明会に登壇したメガネスーパーの星崎尚彦代表取締役は、赤字を続けてきた同社の敗因をこのように分析した。

2015年度決算で9年ぶりの黒字転換を果たした要因としては、低価格路線での勝負に終止符を打ち、詳細な検査と最適なメガネの提案を重視する「アイケアカンパニー」へと転身したことが功を奏したという。手厚いサービスと高付加価値商品の提供に軸足を移すことで、客単価と粗利率を向上させて、業績を上向かせたのだ。

アイケアカンパニーの根幹は検査にあり

「人々を眼から元気にしたい」を基本コンセプトとするアイケアカンパニーに生まれ変わったメガネスーパー。同社が根幹に据えるのは「検査」だ。一般的なメガネ販売店よりも時間を掛け、詳細な検査を行ったうえで、最適なメガネを顧客に提案する愚直なビジネスモデルが、他社との差別化につながったのだという。

しっかりと検査をし、顧客に合うメガネを提供する…。これだけ聞くと、メガネスーパーはメガネ販売店としての原点に立ち返っただけのように感じるが、実際のところ、以前の同社とは「似て非なるもの」(星崎社長)に変貌を遂げているという。