ラジタルでは一部コンテンツを有料化
ラジタルはニッポン放送が2012年に立ち上げたインターネットラジオ。コンテンツは地上波放送の聞き逃し配信やオリジナル番組「オールナイトニッポンモバイル」などとなっている。聴き逃し配信は人気番組のディレクターズカット版なので、いわば自前のプラットフォームでポッドキャスト配信を行っているようなイメージ。オリジナル番組は声優、アイドル、アーティストなど、どちらかといえば売出し中のパーソナリティを起用した番組作りが特徴だ。
ラジタルがビジネスとして成立している理由はいくつかあるが、まず注目すべきは有料コンテンツの存在だ。ラジタルの番組はほとんどが無料だが、いくつかの番組はラジタル内の仮想通貨「ゴールド」を支払うことで聴取可能となる。有料コンテンツからあがる収益が同社のデジタル配信事業を支える基盤。お金を払ってでも聴きたいコンテンツを抱えるニッポン放送ならではのビジネスモデルといえる。
ラジタルの配信コンテンツ一覧画面の一部。無料配信が多いが、例えばオールナイトニッポン45周年を記念して放送したスペシャル番組「ビートたけしのオールナイトニッポン」は350ゴールド(350円に相当)の有料コンテンツとしている。この番組は2013年に地上波で放送されたものだが、後から課金してでも聴きたいというリスナーは多そうだ |
ラジタル独自番組では柔軟なマネタイズに挑戦
ラジタルで配信しているオリジナル番組では、有料化だけではない多様なマネタイズの手法を取り入れている。その1つがグッズ販売だ。商品のなかで目に付くのは、無料配信の番組を総集編としてまとめたCD。人気声優などがパーソナリティを務める番組を凝縮してCD化することで、無料放送を収益につなげる仕組みを構築している。
ネットラジオの独自コンテンツには、番組を基点としたビジネスの拡がりも期待できる。その好例といえるのが、ニッポン放送がオールナイトニッポンモバイルのパーソナリティを務めるガールズバンド「たんこぶちん」と手を組んで楽曲を制作した取り組みだ。佐賀県出身の同バンドと佐賀県の応援ソングを作ったこの企画には、佐賀県を含む複数のスポンサーがついたという。「オールナイトニッポンモバイルを基点とし、(出演者と一緒に)何かできないかということはいつも考えている」と金杉氏は語る。