ドコモが描くAIの姿
吉澤氏によると"生活に溶け込むパーソナルエージェント"を目指すという。人の行動を支援するために対話機能を持ち、画像認識を行い、ユーザーの行動を先読みするような機能を持ったエージェントのことだ。
ただし、現時点では、近未来テクノロジーの位置づけ。サービスの開始時期についても「2020年はひとつのターゲットとなる」としつつも、まだ何も決まっていないという。さらに、ドコモ自身もAIの研究を進めてはいるが、「自前の技術だけではやれることは少ない」とし、外部企業との連携して取り組んでいくようだ。
日進月歩で進むAIテクノロジーに対して、これから本格的に取り組むというのでは、遅すぎるように思われる。しかも、何も決まっていないというのでは、なんだか心許ない気もしてしまう。しかし、それでもドコモには強力な資産があり、AI分野でも力を発揮できる可能性は少なくない。
近年注目を浴びているAIは、"ディープラーニング"と呼ばれる推論を導くための学習モデルの登場、学習に必要な大量のデータ、それを処理するマシーン性能の向上により、環境が整ったことで実現したものである。
ドコモは上記3項目のうち、少なくとも学習に必要な大量のデータは保有している。たとえば、デジタルコンテンツの利用情報、ネットショッピングの履歴といった、個人の趣味・嗜好を探りえる多種多様なデータを保有する。さらには、位置情報と組み合わせることで、誕生しうるサービスもある。
昨年末あたりから一般的な注目ワードとなった感のあるAI。ドコモはこれまで対外的にAIという言葉をあまり出してこなかった。新体制でようやく新テクノロジーへの取組みを本格化することがわかっただけでも大きな進歩といえるだろう。"生活に溶け込むパーソナルエージェント"といった場合に、個人情報の取扱いにも大きなハードルがありそうだが、同社のこれからの動きに注目したいところである。