IoTは世の中をどう変えるのか
ここ数年、盛り上がりを見せているIoTだが、司会の清水氏は「IoTというと予算がつくと聞くが、そもそもIoTはどうやって世の中を変えるのか?」と疑問を呈する。AIやVRにくらべて、IoTだけ具体的な形が見えにくいというのだ。
これに対して田中氏は「IoTとAI、ロボットに共通するのは、リアルな世界とコンピューティングをつなぐインターフェースであること」とコメント。同氏が代表取締役社長を務めるさくらインターネットにおいても、以前のようにPVと売り上げが直結する構造からコンピュータやAIの行動が売り上げにつながるビジネスに変化しつつあると述べ、将棋AIポナンザがさくらインターネットのサーバを使っていたことを事例として挙げた。
その一方で、「普通の人には(IoTが普及しても)何も変わらない」と述べるのが岩佐氏だ。氏は「もうすでにほとんどの人は生活を支えているテクノロジーを理解していない」と分析し、IoTも今後は生活の裏に隠れていく存在になるだろうと予測。その上で具体的なIoTの活用法として「キーワードは自動化」と述べた。
岩佐氏の意見に同意するのが八谷氏だ。ニコニコ超会議を歩いた八谷氏は「皆さんが超会議を楽しんでいるのにIoTはあまり関係ないように見える」と述べ、「車や個人用の飛行機、ドローンのような乗り物には大きな影響を与えると思うが、表面上はIoTは(一般の生活に)関係してこないのかも」と予測する。「一般の人の生活に影響を与えるのは自動運転車くらい」と述べる八谷氏に清水氏からは「メディアアートにIoTを取り入れたら面白いのでは?」という質問が飛び出したが、「(私は)あまりそういうタイプではなくて、枯れた技術の水平思考の方が好き。最先端のことをやっていると5年後には追い越されるから」と技術偏重を危惧している様子だった。
クレイジーなものを作る人が評価される時代になった
今後、さらにニーズが高まりを見せると思われるIoT関連分野。そこに入っていこうとする研究者に向けて、登壇者からエールが送られた。
岩佐氏は「もっとものを作る人が増えてほしい」とコメント。ただし、「既存の組織ではいかれたものはなかなか作らせてもらえない」と述べ、自らが起業したのはそういったクレイジーな発明を世に出したかったからだと明かした。
また、昔に比べると今はそういった「ぶっ飛んだ発想」にも資金を出してくれる人が格段に増えたといい、「いかれたものを作る人が評価される時代になった」と熱く語った。
そんな岩佐氏に「でもCrevoでは社員は起業していないけどクレイジーな製品を作れているのでは」と軽くツッコミを入れて笑いを誘うのが田中氏。「IoTやAIが生活を変えるのかはわからないけど、相手が人間じゃなくなるかもしれない今後の10年をどう暮らすのかは重要」と述べた。
最後に八谷氏は、「自分で会社をやっていなかったらメーヴェは作れなかった。本当にやりたいことをやるために最終的には起業するしかない」と起業を後押しするコメントで座談会を締めくくった。