スマートライフ事業の共通点
スマートライフ事業をみていくと、ある共通点が浮かび上がる。それはドコモだけでサービスを完結しようとしないことだ。外部企業との連携で、サービスの間口を広げたり、サービスの強化を図ったりしている。
たとえば、コンテンツサービスのdマーケットは、かつてドコモユーザーのためのサービスだったが、2014年に方針が変わった。契約する携帯電話会社がKDDI、ソフトバンクであろうともサービスが利用できるキャリアフリー戦略に転換したのだ。最近ではMVNOのフリーテルと販売を連携しており、今後もMVNOとのパートナーシップを強めていくという。
金融・決済サービスでも、外部との連携を進めている。ポイントプログラムの「dポイント」では、ローソンやマクドナルドといった外部企業と連携。ドコモのサービス利用だけではなく、これらの店舗の利用でも、ポイントが付与され、またポイントの使用も可能となっている。
通信依存からの脱却
今回の決算会見では、幾度となく登場したのが"スマートライフ領域"という言葉だった。「スマートライフ領域は、ゼロから始まったといっても過言ではない」「営業利益の伸びは通信事業とほぼ同じ」「不採算なサービスによる減損を除けば、900億円の営業利益を出せる実力がある」など、様々な情報を補足しながら、スマートライフ領域への期待の高さが語られたのだ。
決算会見の数日後に、6月の株主総会で承認され次第、退任すると報じられた加藤薫社長。最後の決算会見の場で、自らの功績をアピールしておきたかったという見方もできそうだが、今回の決算でドコモが打ち出したのは、通信依存からの脱却というメッセージだ。スマートライフ事業から見えるように、外部企業との連携を進め、新たな分野で成長を目指そうとする姿勢が伺える。今はまだ、通信インフラを提供する携帯電話会社のイメージが強いドコモだが、これから先は、同社へのイメージが少しずつ形を変えていきそうだ。