Microsoftは4月28日(米国時間)、Windows 10のCortanaによるWeb検索をMicrosoft Edge + Bingに固定したことを明らかにした。この変更はクライアント側ではなくサーバー側で同日から実施されたため、すぐに気づいたCortanaユーザーもいるだろう。Microsoftは変更した理由として以下の2つを挙げている。

  • Windows 10の設計を回避し、別の検索プロバイダーにリダイレクトするソフトウェアなどが出回った。
  • CortanaはMicrosoft EdgeとBingの組み合わせによって、もっとも適切に動作する。

ここでMicrosoftが指すソフトウェアとは、エンドユーザーが作ったバイパスツールも含まれるが、Internet Exploreのシェアを抜いたGoogle ChromeのCortana対応が大きく影響したのだろう。

筆者の環境ではMozilla Firefoxを既定のWebブラウザーとしているが、CortanaによるWeb検索は、Microsoftの説明どおりMicrosoft EdgeとBingで実行される

Microsoft Search and Cortana General ManagerのRyan Gavin氏は公式ブログで、「Windows 10の既定Webブラウザーや、Microsoft Edgeによる検索エンジン選択の自由度に変わりはない」と強調している。しかし、ChromeやFirefoxのユーザーがCortanaを使うときに異なるWebブラウザーが立ち上がる不自由さについては、あえて目をつぶる形を取った。

さて、ここからは本仕様変更によってユーザーが受ける影響を考えてみたい。Webブラウザー経由で検索を実行しているユーザーがCortana(検索ボックス)のWeb検索を使う場面はそもそも少ないはず。筆者はCortanaのリマインダーを日々活用しているが、Cortana経由でWeb検索を実行する機会は皆無だ。

そう考えると、今回の仕様変更は大きな問題にならないのである。不便を強いられるのは、Microsoft Edge以外のWebブラウザーを既定としていて、Cortana(検索ボックス)のWeb検索を使おうとする場合に限られる。

次にMicrosoftの意図を推察しよう。Web検索やスケジュール情報から得られる大量の情報がユーザー動向やパーソナライズ化に役立つのは、Google Nowの例を見ても明らかだ。Cortanaのパーソナルアシスタントはユーザーが必要とする情報を一歩手前で提示することを目指している。そのためGavin氏の言う「連続性が破壊される」前に仕様変更に踏み切ったのだろう。

Androidデバイス上のGoogle Nowは、パーソナルアシスタント的役割を持つ。ちなみにiOS版もリリースされているが、OSと融合していないため、使い勝手はあまりよろしくない

他方でWeb検索においてはGoogleの寡占状態にあり、ライバル的存在が必要だ。ただし、不自由なプラットフォームをユーザーが好んで選ぶことはない。また、Windows 10 Insider Preview ビルド14328以降、Cortanaを無効にする設定項目は削除されている。「選ばれ、愛されるWindows」と相反するような仕様変更は、Microsoftの焦りがにじみ出ているのではないだろうか。

こちらはWindows 10 Insider Preview ビルド14332だが、<設定>を開いてもCortanaをオフにできる項目は見つからない

最後に本仕様変更に伴い、筆者が4月26日に執筆した記事が、無意味なTipsになってしまったことを読者の皆様にお詫びしたい。

阿久津良和(Cactus)