小説の最大の難所はどうつくるか

小説はストーリー展開を持つ、一種の「物語」だ。小説を書くには、物語に導入と展開、そして結末(オチ)を持たせなければならない。文章を構成する文同士の関係性も関わってくる。これだけでも会話文より難易度が高いことはおわかりだろう。

特にストーリーを作ることと、オチをつけることはかなりの至難だ。物語の中では思い通りに計画が進まなかったり、予想外の障害が突然現れたりというイベントが起きるが、コンピュータにとってはこの「予想外」というのが難しい。そして最大の難所が「オチ」の部分だ。オチにどう意外性があるかで物語の面白さが左右されるといっても過言ではない。これをコンピュータにうまく処理させるには、物語自体の構造をしっかりと分析し、どういった構造でどこがオチなのかをコンピュータが分析できるようなアルゴリズムを作らねばならない。

人工知能による小説の創作には"オチ"を自動抽出するアルゴリズムが欠かせない

物語の学問(ナラトロジー)の世界では、作品構造の分析は古くから行われており、「きまぐれ人工知能プロジェクト」でも、構造やオチの分析をある程度の精度で進められるようにはなってきているが、精度を高めるにはまだまだ単語同士の関係の類推や、ある単語に対する常識といったものをもっと実装していく必要があるという。

ただし、これが発展すれば無数にある過去の物語を解析し、学習することで新しい物語を作り続けることが可能になるため、たとえば映画やゲームのシナリオメーカーを開発することも可能になるだろう。大きな商機を秘めているのだ。

コンピュータが小説の理解が可能なことで映画、演劇、ドラマ、ゲームなどに応用可能となる