出光興産の松本佳久副社長、ドルビージャパンの大沢幸弘社長、Netflix日本法人代表のグレッグ・ピーターズ社長も登壇した。

出光興産 松本佳久副社長

有機ELテレビの断面イメージ。有機EL層は、薄さが髪の毛の1/500ほどの有機化合物を何層も重ねている

出光興産の松本氏は「当社は心臓部である有機ELの発光材料をLGに提供している。テレビの断面を見ると、有機EL層を挟んだところの厚さが0.97mmしかない。さらに有機EL層を分解すると1μm未満。この薄さをコントロールする技術は非常に難しいが、これにより有機ELの特性である黒の表現、コントラスト、色のバランス、全粒駆動による速い応答性を実現している。特に、速い動きに対応するという点は、スポーツ番組の視聴に向いている」と、2020年の五輪特需を見据えた開発を行っていることをうかがわせた。

ドルビージャパン 大沢幸弘社長

Netflix日本法人代表 グレッグ・ピーターズ社長

ドルビージャパンの大沢氏は、「日本のテレビ市場は解像度の向上に特化してきた面がある。しかし、本当に良い映像を実現するとなると、輝度やダイナミックレンジの向上がどうしても必要だ。Dolby Visionは、一般的なHDRに比べて輝度、コントラスト、色合い、画像のディテールが優れている」と、HDR技術におけるDolby Visionの優位性をアピール。また、「LGエレクトロニクス・ジャパンが日本で初めてDolby Vision対応テレビを発売するタイミングで、NetflixもDolby Vision対応コンテンツをリリースする。これにより、家庭でもDolby Visionの映像を楽しめるようになる」と喜んだ。

NetFlix日本法人代表のピーターズ氏は、「当社の使命は世界最高峰のコンテンツライブラリを提供すること。そのために今年は60億ドル以上の投資を行う。年度末までには、何百時間にもおよぶHDR対応の映像コンテンツが提供できるようになるだろう。もちろん日本発のタイトルも含まれており、『シドニアの騎士』は初のHDR対応アニメ作品としてストリーミングする予定だ。世界最高峰のHDRライブラリを築くことが当面の目標である」と話した。なお、今回の新モデルは、Netflix推奨テレビとして認定されている。

質疑応答では「シャープが鴻海からの出資の多くを有機ELに投入するが、どう見ているか」との質問も飛んだ。李氏は「あれはスマートフォン用のものだと思うが……」と前置きした上で「有機ELを知らないユーザーもまだまだ多い。新しい技術を広め市場を拡大するために、(競争に)参加する企業が増えていくのは望ましいこと」と回答していた。

LGエレクトロニクス・ジャパンにおける今年の有機ELテレビの販売目標は、グローバルで年間100万台。「(製品価格が)2,500ドルを超えるハイエンドモデルの市場規模は、世界で400万台。当社はその4分の1を狙っている。価格帯別の選択肢も増やせるよう、現在準備しているところだ」と、今後のシェア拡大に意欲を見せるシーンもあった。