ソフトブレーンの受付に立ったPepperに近づくと「僕も受付できますよー」と呼びかけてくれる。前に立ったことを認識すれば胸に抱いたタブレットに事前に約束があるかどうかを選択するメニューが表示され、約束があると選択すれば事前に発行されたQRコードを額のカメラにかざすように促された。

ソフトブレーン 開発本部 技術開発部 部長の小田健太氏とPepper

「●●とお約束ですね、今呼び出します!」と受付ロボットらしい対応をしてくれた後、電話の呼び出し音を口まねしながら、受話器を持って首を傾けたジェスチャーつきで担当者の呼び出しをしてくれる。さらに待っている間には、過去に名刺交換をした記録や今後の面会予定などについて簡単なおしゃべりをして間を持たせてくれた。

「Pepperが話した内容は、担当者のスマートフォンにリアルタイムでメッセージとして送られてきます。何をPepperが話したか知った上で、それを話題にしたりできるのです」と語るのは、ソフトブレーン 開発本部 技術開発部 部長の小田健太氏だ。

営業支援ソリューション「eセールスマネージャー」シリーズで知られているソフトブレーンが、新たに受付という場に打って出るツールとして送り出したのが、Pepperを活用する「eレセプションマネージャー」だ。単純に受付でPepperがかわいらしくお出迎えしてくれるというだけでなく、システムに直結した受付担当者として活躍できるようシステムが構築されているという。

顧客情報と接続し、トークをするPepper

Pepperがトークに利用している過去の名刺交換記録や今後の面会予定といった情報は、バックエンドで接続している顧客情報から引き出している。実は、ソフトブレーンでは以前から来客予定などを受付に置いたディスプレイに出力し、既存データを活かした受付を行っていた。

「文字で出力しているだけですが、なかなか好評でした。インテグレーターとしてソフトバンクと交流する中で、Pepperで何かやってみないかという話が出た時、Pepperを使って情報を見せるだけではなく、人型の面白さを追求した受付をやろうと考えました」と小田氏は開発に至った経緯を述べた。

2015年8月には社内にロボティクス推進チームを設立し、開発をスタート。同年12月14日からテストケースとして、自社の受付にPepperを立たせた。元々、開発した製品は自社で使い、社内評価の中でブラッシュアップするというのがソフトブレーンのやり方だが、この日取りはソフトバンク側からの見学を意識したものだったともいう。

「12月22日に実際に動いている様子を見ていただいた時に、かなり良い手応えがありました。1月に開催された『Pepper world 2016』にも参加したのですが、7000人が来場した中でeレセプションマネージャーのパンフレットは4000部も配布できたのです。人だかりができて、後ろから手を伸ばして欲しがってもらえるほどで、非常に期待を感じました」と小田氏は語る。

その手応えのとおり、現在はアパレル、住宅メーカー、金融、大手団体など業種を問わずに多くの引き合いがある状態だという。

同氏は「法人向けのPepperに興味を持ったものの、どう使ってよいのか持て余していた企業が多かったのだと感じます。Pepperの4割が受付ニーズだと聞きますし、需要のある分野だったのだと思います」と指摘する。