「国民的アイドルオーディションゲーム」のキャッチコピーのもと、2012年10月からゲーム・アニメで展開している『アイカツ!』。ドレスが描かれたカードを組み合わせ、自分だけのアイドル活動をテーマにしたゲーム版『アイカツ!』はシリーズ累計出荷数約2.1億枚、ICカード累計登録者数約80万人を突破(どちらも2016年1月末時点)という数字をたたき出し、小学生女児を中心に、中高生や大人まで性別や年齢を問わず幅広いファン層に支持されている。『アイカツ!』はキャラクターや世界観を一新し、『アイカツスターズ!』へとリニューアル。2016年4月7日から新アニメの放送、5月からデータカードダスが稼働する。

左からバンダイ・データカードダスチームの中屋有貴氏、中村幸恵氏

今回は、バンダイの「データカードダス アイカツ!」開発チームの中村幸恵氏と中屋有貴氏に、新しく始まる『アイカツスターズ!』や、そもそもの『アイカツ!』企画経緯などについてのお話を伺った。

世代交代の難しさ

『アイカツスターズ!』アニメキービジュアル

――まず、おふたりはこれまでの『アイカツ!』にどう関わられてきたのでしょうか。

中村 私は一番最初の企画立ち上げからですね。コンセプト作りやキャラクターの作成、遊び方の内容など、ドレスデザイン以外を担当しておりました。『アイカツスターズ!』に関しては、プロデューサーということで実作業から少しはなれ、現場の細かいところは中屋などに任せております。

中屋 2013年の6月から企画チームとして関わっています。主にカードのデザイン回りを担当しています。ドレスやマシン、カードのデザイン部分のディレクションなどですね。アイドルたちが着るドレスのテーマや世界観を考え、それをデザイナーさんと一緒につくります。

――ドレスはアイドルのイメージを決定づけるものなので、ある意味一番欠かせないものですね。『アイカツスターズ!』は3年半続いた『アイカツ!』からキャラクターも世界観も一新されました。そこに驚いた方もたくさんいると思います。

中村 まず『アイカツ!』は女の子向けのコンテンツですので、より女の子たちが入っていきやすい環境作りをしたかったというのがあります。いま新しい子が『アイカツ!』に入ろうと思っても、これまで3年半積み重ねてきたものを全部知っていただくのは非常に難しい。ですので、筐体も含め世界観を新しくしようと。

『アイカツスターズ!』データカードダスキービジュアル

――何年目からリニューアルすると最初から決まっていたわけではなく。

中村 そうですね。正直、手探りです。過去に『アイカツ!』のなかで世代交代を1回やったのですが、その結果見えてきたこともありまして、次は新しくスタートしたほうがいいのではないかと。

――初代主人公・星宮いちごから大空あかりへの世代交代は、作中で何話もかけて丁寧にやっていたのが印象的でした。「見えてきた部分」とは?

中村 新しいアイドルがどんどん登場するなか、それまでのアイドルたちとの兼ね合いが難しくなっていくのは感じておりました。新しいアイドルに焦点を当てれば、それまでのアイドルたちはいまどうなっているんだろう、と思いますよね。でも、新しく『アイカツ!』に入ってきて、新しいキャラクターしかわからない子は、知らないキャラクターが出ていると感じてしまう。そのバランスを取るのが難しいと考えたのが、ちょうど3年目のタイミングでした。

――最初にいちごからあかりに世代交代をする際、「もういちごを出さない」という判断はしなかったんですよね?

中村 もともと、スターライト学園というアイドル学校を舞台にしたのは、世代交代をしやすくするためでした。いちごがスターライト学園に入学したときは、すでに先輩でトップアイドルの神崎美月がいる。シーズンが切りかわるタイミングで、新入生キャラを入れてリフレッシュをはかるというのは企画当初からありましたね。ゲームとしてはいままで使えていたキャラクターをまったく使えなくするというのはさけたかったので、まったく出さないというのは考えていませんでした。

『アイカツスターズ!』カード

――ドレスデザインも完全にリニューアルしたのでしょうか。

中屋 はい。デザインする上でまず、『アイカツ!』と似たデザインにならないよう、まったく新しいドレスになるように気をつけました。ただ、いままで『アイカツ!』らしさは残しつつ、これまで好きだった人にも受け入れてもらえるように考えています。

――中屋さんの考える『アイカツ!』らしさとは?

中屋 『アイカツ!』はメインターゲットが7歳~9歳の女の子です。ちょっと背伸びして、お姉さんの真似をしたり、憧れたりする時期ですよね。ですので、ドレスもメインモチーフの星を使い、カラフルにはしているものの、ピンク一色ではなくブルーを混ぜたりですとか雑誌やファッションモデルを参考にして、若干大人っぽいデザインになるよう心がけております。

『アイカツスターズ!』ロゴ