iPhone SEについて、約1週間のオン・オフを通じたレビューを行ってきた。スペック面ではディスプレイサイズ以外は最新のiPhoneと名乗るにふさわしい充実ぶりで、これと最大の武器であるコンパクトさは、非常に満足いく仕上がりだったと評価できる。

画面サイズが最も小さく、そして最も安い価格で登場するiPhone SEは、若年層や新興国における「iPhoneへの入門機」としての役割を立派に果たすことになるだろう。加えて、日本にもファンの多い4インチサイズのiPhoneを好む人々にとっては、iPhone 5sもしくはiPhone 5cから「乗り換えない理由がない」と結論づけられるモデルとなることだろう。

入門機としてはもちろん、4インチ愛好家の期待にも応えてくれるモデルとなることだろう

これまで、Appleは最新のスマートフォンを年1回リリースし、旧来のモデルを併売する形で廉価版を用意してきた。一旦iPhone 5cで新たな道を模索したが、やはりユーザーは高級感がありパフォーマンスが高いスマートフォンが「iPhoneの価値」というフィードバックを得ることができたということか。

iPhone SEは、ユーザーの声と、Appleが取り組むべき、より価格が安く、コンパクトさを両立するニーズに見事に応えた製品だ。同時に、価格と画面サイズを抑えたハイエンドスマートフォン、というキャラクターは、他のメーカーにも波及する可能性も考えられるだろう。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura