イスラエルのCellebrite Mobile Synchronizationが、銃乱射事件の容疑者が使用していたiPhoneのデータ取り出しで米連邦捜査局(FBI)に協力していると、イスラエルのYedioth Ahronothが報じた。Cellebriteはサン電子の子会社である。
このiPhoneは昨年12月にカリフォルニア州で発生した銃乱射テロ事件の容疑者が使用していたもの。容疑者の動機や背景を解明するためにFBIはAppleに捜査協力を求めたが、同社は拒否した。FBIからの要請が、全てのiPhoneのロックを解除できるマスターキーのようなツールの開発に等しかったためだ。加州連邦地裁がAppleにFBIの捜査に協力するよう命じたのに対して同社は異議申し立てを行い、法廷闘争に発展しようとしていた。ところが、21日に事態は急転した。Appleの助けを借りずにiPhoneのデータにアクセスできる可能性を理由に、司法省が法廷審理の延期を申し出たのだ。
Cellebriteはモバイルデータトランスファー機器の開発、製造、販売を手がけており、FBIと契約して2013年から同機関の捜査に協力してきた。iPhoneのデータにアクセスする手法は不明だが、「ハッキングは可能」と明言していたJohn McAfee氏はCNBCのインタビューで「(Appleにとっては)ユニバーサルなマスターキーが作られるのに等しい」と指摘している。FBIがiPhoneのデータへのアクセスに成功すれば、Appleとの対立は解消に向かうが、保護されたモバイルデバイスのデータが読み取られるという新たな問題が生じる可能性がある。