被写体と撮影距離にこだわってボケをつくる
ボケの度合いは、レンズの焦点距離と絞り値、撮影距離によって変化する。簡単に言えば、焦点距離を長くするほど、絞り値を小さくするほど、撮影距離を短くするほど、ボケの度合いはそれぞれ大きくなる。
ボケの形状については、使用するレンズによって差がある。今回使ったタムロン「SP 35mm F/1.8 Di VC USD」は、滑らかできれいなボケを表現しやすいレンズといえる。条件によっては玉ボケの中に同心円状のスジがやや生じるのが惜しいが、周辺の玉ボケがレモン型になる口径食の影響は少なめだ。また大口径レンズでありがちな、近接撮影時の球面収差も良好に補正されている。
開放値F1.8で撮影。高さ約5cmの子グマにピントを合わせることで、背景のイルミネーションを大きな玉ボケとして表現できた。マニュアル (F1.8 1/25秒) ISO400 WB:オート カメラ:EOS 6D |
本レンズのボケの美しさは、次のカットでも確認できる。ピントを合わせた部分はくっきりと解像し、そこから前後に向かって滑らかにぼけている。被写体は、室内のテーマパークに展示されていた高さ50cm程度の光るトナカイだ。
ここまでは主に、ピントを合わせた被写体の後ろに生じる「後ボケ (背景ボケ)」を狙ったが、被写体の手前に生じる「前ボケ」を生かすこともイルミネーションの撮影では効果的といえる。前ボケを作るには、レンズのできるだけ前に、明るめの被写体や光源となる被写体を写し込むといい。
次の写真では、トンネルのように並べて配置されたアーチのひとつに大接近し、そのLEDの隙間から撮影した。アクリル越しのため、遠景の解像はやや低下しているが、大きな前ボケによって奥行きを感じさせる写真となった。