リビングHi-Fiの可能性

このあと、試聴室に設置されていたB&W 801を利用して試聴を行ったが、中高域にかけての繊細さとS/Nの高さというDDFA採用ならではと思われる"らしさ"は健在。明瞭な定位と音場の豊かさ、低域のスピード感と解像感についても、傾向としてはPMA-50と共通する部分が多い。音の輪郭の鋭さとリアルさは、入力から最終段のPMW変換までアナログ回路が存在しないフルデジタルならではの特色だろう。

デノン試聴室に置かれたDRA-100

だが、音場の広さと奥行きという点ではDRA-100に軍配が挙がる。出力アップにより生じた余裕がなさせる技か、マスタークロックの配置を変えるなどレイアウト変更による効果かはわからないが、B&W 801という大型スピーカーをドライブさせるとアンプとしての長所がはっきり現れる。

DRA-100はUSB DACがない、縦置きに対応しないという部分はあるものの、リビングHi-Fiというコンセプトには可能性がある。フルコンポでもミニコンポでもない"第3極"としてのスピーカーリスニングの新時代を拓く、意欲的なデバイスであることは確かだ。