デノンは12月20日、東京・秋葉原で開催されたポータブルオーディオフェスティバル2014(ポタフェス2014)にて、DSD 5.6MHz対応のUSB DACを搭載したフルデジタルアンプ「PMA-50」の説明イベントを行った。
PMA-50は12月10日に発表されたばかりの製品。Bluetoothの高音質コーデック「aptX(アプトエックス)」を開発しているCSR社とデノンが初めて共同で開発を進めた。PMA-50は最新の低遅延Bluetoothコーデック「aptX Low Latency」を取り入れていることも特徴のひとつだが、より注目したいのはCSRから提供された「Direct Digital Feedback Amp(DDFA)」だ。
ディーアンドエムホールディングス マーケティンググループ マネージャーの宮原利温氏は、DDFAの採用により「音の入り口から出口までフルデジタルで、アナログ変換によるロスが一切ない」コンパクトなシステムが完成したと説明。それでいて出力は50W+50W。ヘッドホンアンプ部はアウトプットバッファーでディスクリート構成をとったほか、3段階のゲイン切り替え機能により高インピーダンスのヘッドホンにも対応する。
また、デノン独自のアナログ波形再現技術「Advanced AL32 Processing」も搭載。入力された音楽信号を32bitにアップコンバートするなどして、デジタル音源をより滑らかなアナログの原音に近づける。Bluetooth利用時でもAdvanced AL32 Processingは有効に機能するとのことだ。
そのほか、PCからのノイズを遮断する「デジタルアイソレーター」技術を採用し、NFCにも対応。きょう体には、3mm厚アルミ素材を用いた堅牢設計となっている。
続いて、オーディオ評論家の野村ケンジ氏、PMA-50の開発者であるデノン(D&M)の山内慎一氏、そしてCSRの大島勉氏によるトークセッションが行われた。
野村氏はPMA-50について、フルデジタルにすることでコンパクトなサイズにまとめながら、「実売6万円前後と予想するが、10万円クラスの音を鳴らす」と評価。「ライバルが多くひしめくジャンルだと思うが、縦置き(も可能な)スタイルがユーザーにどう受け入れられるか注目していきたい」と語った。
大島氏は、音質に悪影響を及ぼすノイズなどの要因を独自の方式で取り除くのがDDFAの特徴であると、CSRの技術に自信をみせた。また、「DDFAを経験豊かなHi-Fi設計陣にリファインしてもらった」とデノンの技術者に敬意を表した。
山内氏は、PMA-50をDA-300、DA-10に続く3つ目のUSB-DAC搭載アンプであると位置づけ、フルデジタルでコンパクトアンプを作るためにいくつかの技術を検討した中で「DDFAがベスト」との結論に至ったと開発の裏側を明かした。また、「PCサイドでも本格的なリスニングルームでも期待に応えられる」と設置の自由度について言及。「PMA-50の鳴りっぷりは、価格を超えたパフォーマンスを味わってもらえる」とアピールした。