頭はいいのか?

本体上面に360°を一度で見渡せるカメラを搭載。45°上を見上げるかたちで、1秒間に最大30枚もの画像を撮影し、瞬時にパノラマ写真を作成。画像により部屋の特徴を判断して、部屋の地図と現在地を把握する

360 Eyeのナビゲーションシステムについては、ネイトロボティクスの「Botvac」シリーズや、iRobotの最新モデル「ルンバ980」と同様、部屋の地図を作成しながら自分の位置を把握して動く「SLAM」(Simultaneous Localization And Mapping)を採用している。

地図の作成と自己位置の把握には、天面に搭載された「360°カメラ」を用いる。一度に全方位をとらえられるカメラが得た周囲の映像から目印となるポイントを抽出し、三点法で解析、自分の位置を推定するという仕組みだ。ダイソンはこの仕組みを「360°ビジョンシステム」と呼んでいる。

ナビゲーションシステムの理論はこれくらいにして、実際に動かしてみた。すると、まず気付くのが直線的かつ規則的に動く走行パターン。ほぼ一定の速度でゆっくりと、コの字を描きながら部屋中を動き回る。その整然とした様子はムダがないように思える。

障害物を回避する能力については、一定の高さがあるものに関しては、その精度の高さを感じた。ほぼ確実に、障害物の一歩手前でピタッと静止して方向転換しており、体当たりしていくことはあまりなかった。

掃除をスタートをすると、コの字を描くように進んでいく。障害物に出合うとすんでのところでピタッと停止。方向転換して掃除していく

イスなどの足もとでは「あと少し!」というところまで来て、あっさりと引き返してしまう。本体幅いっぱいのブラシバーは、入り組んだ場所ではあまり意味をなさないと感じる

ただし、床近くにあって高さもあまりないものに関しては、回避できずに突進してしまうことも。360 Eyeは高さ12cmあるため、それより低いものは死角になってしまうのだろう。物に当たらないのはありがたいが、逆に「あともう一歩接近してゴミを吸い取ってほしいのに!」ともどかしく思うこともあった。

これはサイドブラシについても同様だ。確かに、同じ場所は一度しか掃除しない効率的な動きの360 Eyeでは、ゴミをまき散らすサイドブラシを備えないというのは納得できる。また、フラットな壁際については、本体幅いっぱいのブラシでゴミを除去してくれる。しかし、家具の脚もとについてはグッと近寄らないとゴミを吸い取れない。「ロボット掃除機は部屋全体を大まかに掃除してくれればいい」と思っている人は気にならないかもしれないが、できるだけ人の手をかけずに、隅々まで掃除してほしいと思っているユーザーにとっては物足りなく感じる点だろう。