サードパーティがwatchOS 2の肝

重要なのは、この次の「サードパーティ製アプリの解禁」「サードパーティ製コンプリケーションの解禁」の2つだ。Apple Watchでは当初、サードパーティにはApple Watch上で動作するアプリは開発できず、処理を担当するのはiPhoneアプリ側で、Apple Watchでは通知や処理結果の表示のみをおこなうことになっていた。これではiPhoneがないと何もできないし、あっても処理が遅く実用的とは言い難かった。

watchOS 2.0ではサードパーティ製アプリでもApple Watch上で処理を行えるようになり、Apple Watchに搭載された各種センサーやTaptic Engineなどのハードウェアも使えるようになった。このため、同じアプリでもwatchOS 2.0対応のものは起動などの処理が早くなり、センサー類を使って独自にデータを収集し、処理結果を表示することが可能になった。また、iPhoneがなくてもWi-Fi(IEEE 802.11b/g.n-2.4GHz帯のみ)でインターネット接続できるため、単独でも最低限の情報収取が可能になっている。

電卓アプリの「PCalc」はTaptic Engineを使ってキータッチの有無を振動として伝えてくれる

watchOS 2.0ではiPhoneがなくても、Wi-Fiにつながる環境ではiPhoneの代わりにクラウドアイコンが表示される

watchOS 1.0(左)はiPhoneがないとアウトだが、watchOS 2.0(右)はWi-Fi経由で接続しており情報更新が可能だ

時計の文字盤に設置するミニアプリ「コンプリケーション」も同様に解禁され、純正のコンプリケーションにはない情報を表示できる。純正でもなかなかセンスのいいコンプリケーションが揃っていたが、これがさらに充実するのであれば大歓迎だ。

サードパーティ製コンプリケーションはニュース系か、ニッチな機能の通知に絞り込んだ方がウケがいい気がする

主要な変更点を紹介してきたが、watchOS 2.0の変更点は一見するとあまり大きくないように感じる。6月のWWDCで発表されたときは、これでApple Watchは大きく変わるぞ!」と期待が膨らんだのだが……。実際、利用しているときは、変化らしい変化はあまり感じられない。相変わらず表には出ず、裏方で静かにしている印象だ。

しかし、細かいところではアプリの起動や処理が早くなっていたり、これまでと違った情報が表示できるなど、ストレスを感じさせず、着実に進歩している部分も多い。サードパーティ製アプリが出揃うのはこれからが本番だろうが、OSとしての真価を発揮するのもそれからだろう。ようやく実力を発揮する舞台が整ったというところなので、これからの展開に大いに期待したい。