MicrosoftはWindows 10において、PCに対してもスマートフォンなどモバイル端末に対しても、同一のOSとアプリケーションプラットフォームを提供することを目指している。これは、ゲームコンソール機の「Xbox One」に対しても例外ではない。

日本マイクロソフトは9月26日、日本市場でXbox Oneを盛り上げるため、「Xbox One 大感謝祭 2015 in Tokyo」なるプライベートイベントをプレス向けに開催した(大阪は10月4日開催)。今回はWindows 10との連携を中心に、同イベントの内容を報告する。

会場はXbox Oneのブランドカラーである緑一色で覆われていた

最初に登壇したのは日本マイクロソフト Xboxマーケティング戦略本部 グループシニアマネージャーの井上正之氏だ。XboxといえばFPSゲームのHaloシリーズが有名だが、井上氏によればXbox LIVE経由で計上した同シリーズの総プレイ時間は60億時間を超えるという。さらに10月29日リリース予定の「Halo 5: Guardians」を紹介しつつ、Xbox Oneの盛り上がりに期待を寄せていると述べた。

日本マイクロソフトの井上正之氏

10月29日リリース予定の「Halo 5: Guardians」

さらにゲストとしてCrystal DynamicsのChris Johnston氏も登壇。同社は映画にもなった「トゥームレイダー」シリーズ最新作の開発を手がけており、11月12日リリース予定の「Rise of the Tomb Raider」のデモンストレーションプレイを披露した。前作と比べると様々な仕掛けを追加したという。

Crystal DynamicsのChris Johnston氏

Xbox One/Xbox 360用タイトル「Rise of the Tomb Raider」

その他にも、ユービーアイソフト アジア代表取締役社長のSteve MILLER氏によるタイトルのアピール。Xbox OneやWindows向けゲームタイトルのデジタル配信を支援するセルフパブリッシングプログラム「ID@Xbox」の例として、NINJA EGGの「Kyub」の紹介などが行われた。

だが、本イベントで注目すべきは、Microsoft StudiosでCVPを務めるKudo Tsunoda氏のスピーチだ。同氏はThe 3DO CompanyやElectronic Artsを経て2008年からMicrosoftに入社し、2011年から現職に就いている。Xboxといえば部門トップのPhil Spencer氏が有名だが、Tsunoda氏は2015年3月から米国や欧州に点在するLionhead StudiosやRareといった開発スタジオを取りまとめる役割を担うようになった。

MicrosoftのKudo Tsunoda氏

Tsunoda氏は「コンソールゲームデバイスが生まれた日本を尊敬している。我々の目標はゲーマーを活動の中心に据えること。ゲーマーと開発者が安心できるプラットフォームを築いて、創造性や革新性、"楽しさの限界"に挑戦することだ」と語った。

Xbox OneとWindows PCで同一のタイトルを楽しめるプラットフォームであることを強調した

さらにTsunoda氏は具体的な目標として、「ゲーマーが好きなタイトルを、好きな人と好きなデバイスで楽しめること」と説明している。これはユニバーサルWindowsアプリ「Xbox」を介したXbox Oneとの同時プレイや、Xbox OneのタイトルをWindows 10搭載PCでストリーミングプレイするといった機能を意味しているのだろう。同氏は「Xbox Oneのタイトルを家庭の大型TVで楽しみ、職場ではWindows 10 PCで同タイトルを楽しんでいる」という。

会場に設置されていたXbox Oneのデモ機。ストリーミングでWindows 10とつながっている

ユニバーサルWindowsアプリ「Xbox」に映し出されたタイトルは、PCに接続したXbox Oneコントローラーでプレイ可能だった

他にも「(Xbox LIVEで)購入したタイトルや獲得した実績は2つのデバイス間でシームレスにアップデートできる。このようなゲーム環境は2016年に向けて拡充していく」と未来のゲーム環境について説明した。残念ながら「Kinect for Xbox One」や「HoloLens」などを活用したシナリオは披露されず、Windows 10とXbox Oneの連係も既存情報に留まっている。

気になるのはWindows 10プラットフォームの統合化がいつから始まるのか、という点だ。Microsoftのアナウンス通りであれば、ユニバーサルWindowsアプリはWindows 10でもXbox Oneでも同じように動作するはずである。既にWindows 10 Mobile(Insider Preview版)を見る限り、この説明は間違いではない。「Xbox One版Windows 10」のリリース時期は非ゲーマーであっても興深いだろう。

Spencer氏は2015年5月の時点でXbox Oneの新OSベータテストを開始するとTwitter上で発言し、Microsoftは今年のE3で、Cortanaなど新機能を搭載したアップデートを2015年のホリデーシーズン(11月末から年末年始)に行うことを明らかにしている。ただ、今回のアップデートはパフォーマンスやゲーム体験の向上、SNS連動の拡張などOSレベルのアップデートには至らない予定だ。

日本マイクロソフトは、1TBのSSHDを内蔵し、ワイヤレスコントローラーを同梱した「Xbox One Elite」の発売や5,000円引きキャンペーンを実施する。だが、我々が意識せずにPC上でXbox Oneタイトルを楽しみ、リビングに設置したXbox Oneが情報ハブになるような世界は、まだしばらく先の話になりそうだ。Tsunoda氏が述べたように、「Windows 10はゲーマーコミュニティにとって最上のプラットフォームになる」ことを期待したい。

11月6日リリースの「Xbox One Elite」に同梱する「Xbox Eliteワイヤレスコントローラー」

2015年10月1日から12月31日まで、Xbox One本体の5,000円オフキャンペーンを実施する

阿久津良和(Cactus)