Oculus VRのヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift(オキュラス・リフト)」は、次世代のバーチャルリアリティを実現するデバイスとして注目を集めている。そのOculus RiftがWindows 10でネイティブ動作することが発表された

「Oculus Rift」と「Xbox Oneワイヤレスコントローラー」

Microsoftは公式ブログで「DirectX 12を活用するOculus Riftは、Windows 10こそ最高のプラットフォームとなる」と両者の提携を紹介している。Oculus VRは2012年のE3でOculus Riftの試作機を発表し、そこからKickstarterで資金を集めて開発を進め、2014年3月にFacebook傘下企業となった。

当初はマルチプラットフォームデバイスを目指していたOculus Riftだが、「開発に注力するため」との理由でOS XやLinux版の開発を一時停止し、Windowsに注力することを明らかにしている。穿った見方をすれば、この時点でMicrosoftとOculus VRの提携がほぼ決まっていたのだろう。

さらに今回、Oculus Riftの専用コントローラー「Oculus Touch」を発表すると同時に、「Xbox Oneワイヤレスコントローラー」を同梱することを明らかにした。MicrosoftはWindows 10でXbox Oneワイヤレスコントローラーを使用するための「Xbox One Wireless Adaptor」を米国で6月16日から発売する予定だ。

一方の手でアナログコントローラー、もう一方の手でボタンを押す「Oculus Touch」

Windows 10とXbox Oneワイヤレスコントローラーをつなぐ「Xbox One Wireless Adaptor」

Oculus RiftがサポートするプラットフォームはWindows 10にとどまらず、Xbox Oneも含まれる。Microsoftは、Xbox Oneでプレイ中のゲームをWindows 10搭載デバイスにストリーミング配信する「Game Streaming」を予定しているが、この機能をOculus Riftにも広げるようだ。あくまでもWindows 10を経由することになるが、興味深い機能といえるだろう。

Windows 10時代はOculus Rift + Xbox Oneワイヤレスコントローラーでゲーム体験が大きく様変わりしそうだ

Xbox部門の代表を務めるPhil Spencer氏も「(Oculus Riftが生み出す)VRと、それを生み出した彼らの仕事は素晴らしい。Oculus Riftは次世代のVR体験を提供できるだろう」と、今回の提携をアピールしているが、Oculus Riftは2016年第1四半期のリリース予定。我々がVRの世界でゲームを楽しむのはまだ時間がかかりそうだ。

ビジネス会議を変える「Surface Hub」

我々のPC体験を変革させるのはOculus Riftだけではない。既報のとおり、Microsoftは7月1日(米国時間)に「Surface Hub」をローンチする。Surface Hubは、55インチと84インチの2モデルを用意した大画面コラボレーションデバイスだ。タッチ機能とインク機能を備えたWindows 10デバイスとして、企業の会議やICT教育など幅広い分野での活躍が期待される。

Microsoftが想定するSurface Hubの利用シーン。現時点では職場での会議をイメージし、インク機能で情報共有することを想定している

「Ignite 2015」のキーノートでも披露したSurface Hub。個人的にはSurface 3クラスを生徒に渡し、Surface Hubの前で教師が授業するようなICT教育分野での活用を期待したい

MicrosoftはSurface Hubの参考価格として、55インチモデルで6,999ドル、84インチモデルで19,999ドルを提示した。日本国内での販売時期や価格は未定だが、Surface Hubはディスプレイを壁に移動することで、Oculus Riftは目前に映し出すことでPC体験を大きく様変わりさせる。我々は今、ITの変革期に生きているのだろう。

阿久津良和(Cactus)