パナソニックが8月に発売した「LUMIX DMC-GX8」は、フラットトップのレンジファインダースタイルを採用したGXシリーズの最新モデルだ。ボディとレンズの両方の手ブレ補正を併用する世界初の「Dual I.S.」を特徴とする。大手量販店における店頭価格は、ボディ単体が154,980円、マットブラック仕様のG 14-140mm F3.5-5.6付きレンズキットが194,400円(いずれも税込)。

パナソニック「LUMIX DMC-GX8」。ボディ単体およびLUMIX G 14-140mm F3.5-5.6付きのレンズキットが用意される。ボディカラーはブラックとシルバーが選べる

従来モデルよりも大きく重くなってはいるが、その分、EVFの高性能化やバリアングルモニターの採用など、パワーアップをはかっている。また、撮像センサーと画像処理を受け持つヴィーナスエンジンも新型に変わっており、実写での画質にも注目したい。

注目の手ブレ補正機構「Dual I.S.」

注目のポイントは、ボディとレンズの両方で手ブレを補正する「Dual I.S.」だ。もともとパナソニックはレンズ内手ブレ補正を採用しているが、GX7にはボディ側にもセンサーシフト式の手ブレ補正機構を搭載。本機もそれを踏襲している。

GX7は、レンズとボディのどちらか一方の手ブレ補正だけを利用する方式だったが、本機では、大きな角度ブレ(※1)と並進ブレ(※2)をボディ側で、細かな角度ブレをレンズ側で補正する仕組み。機能的には4軸補正なのだが、ボディ側の4軸とレンズ側の2軸を組み合わせているということで「6コントロール手ブレ補正」と呼んでいる。なお、カメラが回転方向に傾くことによって起きるロールブレには対応していない。

ボディ内手ブレ補正機構とフリーアングルモニターを搭載していることもあって、ボディの奥行きが増した

ちなみに、「Dual I.S.」に対応しているレンズは、現時点ではLUMIX G X 12-35mm F2.8、LUMIX G 14-42mm F3.5-5.6 II、LUMIX G 14-140mm F3.5-5.6、LUMIX G X 35-100mm F2.8、LUMIX G マクロ 30mm F2.8、LEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2の6本 (いずれもファームウェアアップデートが必要)。ほかは2015年度内に順次対応予定とのことだ。

「Dual I.S.」非対応レンズを装着した場合はレンズ側の手ブレ補正のみが作動し、手ブレ補正機構を持たないレンズの場合はボディ側の手ブレ補正のみが作動する。なお、マウントアダプターを介してオールドレンズなどを装着した場合、並進ブレは補正されない (レンズからの距離情報が得られないからだろう)。

気になる補正効果を、LEICA DG NOCTICRON 42.5mm F1.2を使って簡単にテストしてみた。テスト方法は、1/250秒から1/4秒までの各シャッタースピードで50コマずつ撮影して、ピクセル等倍で見てブレていないと判定できるコマの率を算出した、というものだ。結果は1/15秒で8割近く、1/8秒でも5割強の成功率という結果だった。筆者個人としては、低速シャッターでかなり粘り強いと感じた。

有効2,030万画素のLiveMOSセンサー。ボディ内手ブレ補正機構を内蔵している

マイクロフォーサーズでは最多画素数となる。実写でのファイルサイズは、JPEG FINE画質で約6.5MBだった

撮影時のモニター画面。右上部の「DUAL」のアイコンは、ボディとレンズの両方の手ブレ補正を使用する「Dual I.S.」を表す

こちらは手ブレ補正がオフのときの表示

手ブレ補正の設定画面。通常モードと流し撮りモードの切り替えのみで、ボディ側とレンズ側のそれぞれを個別に切り替えることはできない

動画撮影時のみ電子式の手ブレ補正も利用できる。オンにすると、回転方向のブレ(ロールブレ)も補正される

※1 角度ブレ : カメラの向きが変わることによって起きるブレ。手ブレの主な要因であり、多くの手ブレ補正はこの角度ブレのみを補正する。

※2 並進ブレ : シフトブレともいう。カメラが上下左右にスライドすることによって起きる。撮影距離が短いほど影響が大きくなる。