スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「AOSP」についてです。

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AOSPとは「Android Open Source Project」、すなわちオープンソースプロジェクトとしてのAndroid全体の開発活動を意味します。たとえば、Google内部で開発を進めるAndroidの次期バージョンに相当するプログラムは、その時点では外部ユーザがソースコードを閲覧することはできませんが、AOSPとして公開されるとオープンソースソフトウェアライセンスが適用され、自由に閲覧/再利用できるようになります。

見方を変えると、AOSPはAndroid OSの「標準形」ということができます。Android OSは、端末メーカーがGoogleとのライセンス契約の範囲内で改変することが可能ですが、その基準となるのがAOSPです。端末メーカーが手を加える前の、いわば"すっぴん"の状態のAndroid OSがAOSP、と言い換えてもいいでしょう。

端末メーカーによっては、最新版のAOSPが動作するよう必要最低限の自社端末向け改変をくわえ、ソースコードを公開しています。たとえば、SONY Mobileは2014年秋にXperia Z1/Z2/M2向けにAOSP版 Android 4.4(KitKat)のソースコードを公開し、ユーザの手でコンパイル(ソースコードから実行形式のファイル/アプリを生成する作業)できるようにしています。

ただし、ブラウザを指していう場合、AOSPという言葉のニュアンスは変わってきます。Android 4.3まで、Android OSには「Chrome」と「ブラウザ」という2つのWEBブラウザが標準装備されてきましたが、そのうち後者は「AOSPブラウザ」と呼ばれることがあります。Android OSの一部として開発が進められてきましたが、すでに開発は終了され、KitKat以降は最新のウェブ技術に対応した「Chrome」がメインのWEBブラウザとなっています。

いわば"すっぴん"の状態のAndroid OSがAOSPですが、かつてAOSPに含まれていたWebブラウザを特に「AOSPブラウザ」と呼ぶことがあります