多種多様な候補から自分好みの端末を選択でき高度なカスタマイズが可能、それがAndroidの魅力であり強みです。しかし、その自由度の反面わかりにくさを指摘されることも少なくありません。このコーナーでは、そんな「Androidのここがわからない」をわかりやすく解説します。今回は、「ムービーの転送、速くならないの? (ただしワイヤレスに限る)」という質問に答えます。

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いまやフルHDの解像度で撮影できるスマートフォンは珍しくなく、データ量がフルHDの4倍となる4Kでの撮影に対応する端末もありますから、撮影後のムービーを効率よく外部へ移動する工夫が欠かせません。一般的には、ファイル管理アプリでメモリからmicroSDへ移動するか、USBケーブルあるいはWi-FiでPCやその他ストレージへ転送することで、減る一方のメモリ空き領域を回復できます。

上に挙げたなかで、もっとも効率的な方法はmicroSDへの移動です。USBケーブルを使った転送も、ムービーの保存先がメモリ(RAM)であればmicroSDより速いほどですが、限られたメモリを有効に活用するという意味でも、ムービー撮影時にmicroSDを保存場所とすることがベストでしょう。

質問では「ワイヤレスに限る」ということですから、手段はWi-FiかBluetooth、NFCということになります。この中で最速は言うまでもなくWi-Fiですが、アクセスポイント(ルータ)との通信に使う規格によって差が生じます。スマートフォンとルータ、そして転送先(PCやNAS)のすべてが最新/最速のIEEE 802.11acに対応していれば、条件にもよりますが数百MB/秒という速度で転送できます。その際、複数のアンテナを組み合わせてデータ帯域を広げる「MIMO」のアンテナ数が多いルータを使うと、なお有利です。

もうひとつ、方法があります。それは、近接無線転送技術「TransferJET」対応端末を用意することです。2015年夏モデルでは、NTTドコモの「ARROWS NX F-04G」が対応しているほか、東芝から同技術に対応したSDカードやiPhone向けアダプタも発売されていますから、Android以外の機器にも転送できます。現在のTransferJETの実効転送速度は最大375Mbps程度ですが、対応端末を近づけるだけで転送でき、周囲から影響を受けにくいという利点もあるため、ムービーのような嵩張るデータの転送に適しています。

TransferJETに対応した端末を用意すれば、近づけるだけでムービーを高速ワイヤレス転送できます(写真はNTTドコモの「ARROWS NX F-04G」)