NEVER FORGET GO FORWARD

消防救助技術大会は、いわば「レスキュー隊の甲子園」。ひとりでも多くの市民を無事救助できるようにと、日夜訓練を続ける全国の隊員の方々が、その鍛えられた救助技術を競い、知識を交換する大会だ。出場者は全国9つのエリアで地区大会を勝ち抜いてきたレスキューのエキスパートばかり。高所での救助シーンを想定したセーラー渡過(綱渡り)や梯子登はん、水中結索などをはじめとする数々の基礎(個人)訓練・連携(団体)訓練で、速さとともに安全・確実性、チームワークを競う。

「たとえば、カラビナにロープを掛けただけでは、どんなに早くてもダメ。安全環をしっかり締めてこそ、救助技術なんです」(田中氏)

田中氏「私は選手としてはすでに引退して、現在は指導者として後進の指導に当たっています。今年は地元で全国大会が開催されるので、やはりひとりでも多く、ひとチームでも多く神戸から出場できるように、神戸の隊員が全種目に出場できるようにと、隊員たちとともに訓練に励んでいるところです」

「本当は、私たちがあまり働く(出動する)ことがない方がいい」と田中隊長は笑う。それでも、やはり災害は起こる。たとえ起こらなくても、常に訓練はしておかなければならない。

実際は、競技の内容そのままのような災害現場はまずないというが、それでも、体力や精神力の鍛錬はもとより、競技会に向けた訓練が災害の現場で役に立つことは数多いはずだ。それは、平常時には求められなくても、もしものときに必ず重要になるという、G-SHOCKのタフネス性能の理念にも通じる。

田中氏「とはいえ、やるからにはやっぱり勝ちたいですよね。勝負ですから(笑)」

田中隊長の腕にはタイアップモデル、齊藤氏の腕にはオリジナルモデルのレンジマン

レスキュー隊が使用する救助工作車。側面に大きく描かれたイーグルマークもまた、神戸の救助隊員の誇りだ

近年の国内外を取り巻く事故や災害が複雑多様化しつつあることは、読者諸氏も実感されていることだろう。第44回全国消防救助技術大会は一般にも公開され、各種の防災イベントブースでいろいろな体験もできる。国内トップクラスの実力を誇る救助のエキスパートたちが見せてくれる技と力を、ぜひ会場で実感してみてはいかがだろうか。

そして、私たちもまた、ただ守られるだけでなく、事故や災害から自らの身を守るために普段から何ができるのか、自分がその場面に遭遇したときに支え合い、助けあうためにできることは何なのか。そんな防災の心がけの再認識もまた、この時計が投げかけているようにも思えるのだ。

市民の安全を守るレスキュー隊員の皆さんと一緒に

第44回全国消防救助技術大会

■日時
平成27年8月29日(土曜日) 9時00分から16時00分まで

■場所
(1) 陸上の部 : 神戸学院大学ポートアイランドキャンパス
(2) 水上の部 : 神戸市立ポートアイランドスポーツセンター

■主催者等
(1) 主催 一般財団法人全国消防協会
(2) 後援 総務省消防庁、全国消防長会
(3) 主管 神戸市消防局

■参加消防本部
全国9地区支部
(北海道、東北、関東、東海、東近畿、近畿、中国、四国、九州)
750消防本部

■訓練種目
(1) 陸上の部(7種目)
基礎訓練2種目 : ロープブリッジ渡過、はしご登はん
連携訓練5種目 : ロープ応用登はん、ほふく救出、ロープブリッジ救出、引揚救助、障害突破

(2) 水上の部(7種目)
基礎訓練2種目 : 基本泳法、複合検索
連携訓練5種目 : 溺者搬送、人命救助、溺者救助、水中結索、水中検索救助

(3) 技術訓練(陸上の部、水上の部)