コストメリットに関してはまだ不透明だが、Radeonゲーマーにとっては大きな魅力

このように、FreeSyncも、G-SYNCと同様、ゲームプレイにおけるGPUとディスプレイ同期に関する問題を解決できる技術であることが確認できた。ゲーマー、特にRadeon RシリーズGPU(のうちFreeSync対応モデル)を愛用されているユーザーにとっては、ゲーミング環境をより快適にするアイテムとして、オススメできる技術と言って間違いない。

GPUチップと同様、市場に複数の競合技術が登場すれば、競争原理が働く。ここまでのところ、G-SYNC対応液晶ディスプレイはかなり高価格帯にとどまっていたが、29UM67-Pは、G-SYNC対応ディスプレイよりも1万円程度低価格帯に投入された。ただ、高リフレッシュレート対応モデルではないところは価格を抑える要素、一方ウルトラワイド液晶は価格を引き上げる要素であるので、標準的な高リフレッシュレートで16:9のモデルではどのくらいの価格となるのか、分からない部分もある。

少なくとも、一般的な液晶ディスプレイと比べて、ゲーマー向け液晶として少し上の価格帯にとどまるのではないかと思う。120Hz、144Hz対応の高リフレッシュレートを実現するには、それに対応できるパネルが必要となるし、Adaptive-Syncに対応するために、リフレッシュレートが可変できるパネルドライバを開発しなければならないため、高付加価値であることは変えようがない。

ただ、ディスプレイ同期技術がもっと当たり前になれば状況は変わる。リフレッシュレートの同期、そして画面の書き換えが少ない状況下でリフレッシュレートを引き下げるという技術は、そもそもモバイルPCにおいて液晶ディスプレイの消費電力を抑える目的でも研究されてきたものだ。液晶ディスプレイの省エネ化という点でメリットを訴求できれば、かつてのLEDバックライトのように、付加価値であっても当たり前に搭載されるようになってくるだろう。

また、2つのディスプレイ同期技術を試して感じたのは、例えばこれを映像視聴にも利用できないかという点だ。映像には24p(24fps)のソースがある。PC、60Hzのディスプレイでこれを視聴する場合、24p→30pの変換を行うわけだが、ディスプレイ同期技術があれば、フレームを補完することなく24p生ソースのまま再生できるかもしれない。そうした、非ゲーム分野でのディスプレイ同期技術のメリットが見えてくれば、また状況が変わってくるかもしれないと感じた。