AMDがディスプレイ同期技術「FreeSync」を発表したのは1年以上前のことになる。COMPUTEX TAIPEI 2014でのデモなどを経て、2015年、ついにFreeSyncに対応するディスプレイが登場した。ここではFreeSyncとはどのようなものか、ゲーマーにとってどのようなメリットがあるのか、対応ディスプレイ第1弾モデルを用いて調査してみよう。

FreeSyncはG-SYNCと同様、V-SYNCに代わるディスプレイ同期技術

PC用ディスプレイは、一般的に60Hzのリフレッシュレート(走査周波数)で動いている。一方、GPUから送出される映像は、3Dシーンの負荷に応じて、フレームレートが常に可変するものだ。理想は1Hzに対し、1fpsが送られる状態である。これで秒間60フレームが描画される。

しかし、いつも理想通りとはいかない。例えば、3Dシーンの負荷が重く、GPUからの送出が45fps程度に落ちてしまうとどうだろう。ディスプレイは60Hzで受け取る情報を表示するため、新しい画面が届かない場合は、一つ前の画面を表示し続けることになる。つまり、一時的に同じシーンが続くような状況が生じてしまい、描画がカクカクした状態に見えてしまうのだ。

GPUの処理がディスプレイの走査に間に合わない場合、一つ前の画面を表示し続けることになる。これがスタッタリングとよばれるカクつきの原因となる

また、次は47fpsや68fpsのように切りの悪いフレーム送出だった場合を考えてみよう。このような場合も、ディスプレイ側は60Hz周期で画像を受け取るため、1Hzの間にフレームがまたがってしまうようなことが置きてしまう。

走査周波数は上から下へと流れるため、画面の上の方は1つ前のシーンを、下の方は現在のシーンを描画することになってしまう。動きの少ないシーンであればまだごまかしが効くが、これが動きの激しいシーンの場合、上下が引き裂かれたようなティアリングやチラツキとなってしまうわけである。

画面の上と下で引き裂かれたような表示になることもある

これまでの仕組みは、これらにどうやって対処しようとしてきたのか。ディスプレイ同期技術には、以前からV-SYNCという仕組みがある。V-SYNCは、GPUからの送出をディスプレイ側のリフレッシュレートに合わせて調節する機能だ。たとえGPUの性能的に200fpsが出せるような状況でも、60Hzのディスプレイには60fps、120Hzのディスプレイには120fpsといった具合で上限を設ける。

これにより、ティアリングやチラツキに関しては解消できる。ただし、60fpsに満たないような場合は、依然、カクつきが残り、不満が解消できない。特にV-SYNCは、60fpsに満たないシーンでは60Hzの半分、30fps×2シーン連続で同じ画面を送出するといった制限をかけ、強引に同期するため、場合によっては、余計にカクつきを感じることにもなる。

V-SYNC用いられてきた時代では、GPU性能が足りない場合はより高性能なGPUに買い換えたり、あるいは画質を落として60fps以上を常に叩き出す設定を見つけ出すといった対処が必要だった。

これに対し、G-SYNCやFreeSyncは、ディスプレイ側がGPUに合わせて同期をとる技術である。2つの技術は、同期という点で見れば同じだ。GPUのフレームレートに対し、ディスプレイがリフレッシュレートを可変させ対応することでスムーズな描画が得られる。

GPUでの処理が終わってから、ディスプレイで走査を行う

例えば60fpsを超え、67fpsとなってしまった場合は、ディスプレイ側が67Hzに調節されるのである。ただ、ディスプレイ側のリフレッシュレートに上限下限があるため、常に完全な同期ではなく、下限を超えて低すぎたり上限を超えて高すぎる場合もある。その場合、高い側は従来のようにV-SYNCを使えば対応できるし、低すぎればそれはGPU側のパフォーマンス不足であるって、要買い換え、あるいは画質設定を見なおせばよいのである。

このあたり、詳しくは2014年12月に行ったG-SYNCレビューも参考にしてほしい。