新ガイドラインによりSIMフリースマホに市民権が

こうしてキャリアの実際の対応を見ると、ドコモもauも総務省新ガイドラインの穴をついて、とりあえずSIMロック解除に対応しながら、最大限、消極的な姿勢をとっているように感じられる。まあ、商売人としては仕方のないところだろう。

それでは新ガイドラインはスマホ界の動きに大した影響を与えないのだろうか? 僕はそうは思わない。この新ガイドラインは、キャリアにSIMフリー化を促すことが目的の1つであり、それが世間のSIMフリーに対するコンセンサスを変化させるに十分な力を持っていると考えられるからだ。

つまりは、今回の新ガイドラインにより、スマホの標準的な姿がSIMフリーであることを明示したことになる。「SIMフリースマホ」というものがスマホの普通にあるべき姿だと世間に認識させたわけだ。新ガイドラインによって、SIMフリースマホというジャンルが完全に市民権を得たわけである。今後、キャリア以外のスマホ、つまりはSIMフリー市場がより活性化していく可能性が高いということだ。

そして、この動きには、世界中のスマホメーカーも関心を持っているようだ。

今年、5月から世界的に大きなシェアを持つ通信機器メーカーの「ZTE」が「gooスマホ」として日本国内のスマホ市場に本格的に参入してくるが、このタイミングで進出してきたのも決して偶然ではないだろう。同じく、ファーウェイなども世界中で展開するSIMフリースマホを日本市場にすばやく導入するようになってきた。

1万円という低価格を実現したgooスマホ「g01」

そして、以前から日本市場でSIMフリースマホを積極的に販売しているASUSも、先日、新端末のZENFone2を日本国内向けに販売する発表会を行った。

日本国内にも素早く新端末を導入するASUS。左写真は「ZenFone 2」

また、国内のさまざまな事業者もこの分野への進出を狙っている。たとえば、先日、発表会を行ったトーンモバイルの「TONE」などがそれである。トーンモバイルは、TSUTAYAのカルチュア・コンビニエンス・クラブとフリービットが提携した会社で、その端末であるTONEは低価格で利用でき、しかもTポイントも貯まる。

TONEはTSUTAYAのパワーで新しい市場を開くか

これから数年後、市場を振り返ったとき、あの新ガイドラインが新たなる戦いのスタートラインになったと判断されることになるだろう。

(記事提供: AndroWire編集部)