SIMロック解除は誰にでも恩恵があるわけではない
SIMロック解除は、「そのキャリアの回線を使わない場合」に必要なものだ。逆に言えば、「ドコモの端末をドコモの回線で使う場合」にはSIMロック解除は必要ない。つまり、ドコモの回線を利用する大多数のMVNOでは、SIMロックを解除しなくてもドコモの端末はそのまま使える。同様にUQ MobileやmineoといったKDDI系のMVNOも、そのままauの端末が利用できる。
そのため、SIMロックを解除義務化は誰にでも恩恵のある制度ではないが、これをきっかけに、キャリアやメーカーのビジネスモデルにも影響があるかもしれない。ドコモとKDDIが180日間という期間を設定したのは、設計を厳しくして端末代不払いや転売といった行為を避けたいという理由があるようだ。特に、iPhoneの影響は見逃せないだろう。
まあ、SIMロックを解除しなくても一定の価格で売却は可能なのがiPhoneだし、180日間という期間を設ける必然性は薄いようにも思う。「一般的な役務提供期間を想定して180日間」(KDDI)という説明もあったが、この期間はあくまで「最低限の措置」であり、ガイドラインとの整合性には疑問もある。
SIMロック解除義務化に対して、キャリア2社の対応は過剰という印象がある。端末代金を一括で支払った場合は解除できる、海外渡航者には別途対応するといった柔軟な対応も必要だろう。ドコモでは、「社内でもいろいろ検討したうえでの結論。顧客の声によってはどうするか考えることも必要」と話しており、今後改善が図られる可能性もある。
SIMロック解除義務化で、端末販売でさらに囲い込みを強化する可能性もあり、キャリアの動向を注視していく必要があるだろう。