ストレージ容量が倍増し、使用できる空き領域は約50GBに

スペック面をおさらいしておこう。MS-NH1-64Gは、CPUに"BayTrail Refresh"ことAtom Z3735Fを採用しており、動作クロックは1.33GHz(ターボ・ブースト機能利用時最大1.83GHz)となる。Atomといえばインテルのモバイル向けCPUの定番で、最近ではWindowsタブレットに使用されることも多いCPUだ。こちらのモデルは4コアを内蔵しているため、その名称から受ける印象よりも処理能力は高い。メモリはDDR3L-1333で動作しており、2GBを実装済みだ。通信デバイスはIEEE802.11 b/g/n対応無線LANおよびBluetooth V4.0を内蔵。そもそも有線LAN用のコネクタであるRJ-45コネクタよりも本機のほうが薄いくらいなので、当然有線LANは搭載されていない。必要な場合は、USB型のLANインタフェースを利用することになるだろう。

CPU-Zで確認した4コアCPU「Atom Z3735F」の詳細。ターボ・ブースト機能利用時の最大動作クロックは1.83GHzとなるが、今回試用した範囲では1.33GHzまで確認できた

メモリの仕様をCPU-Zで確認したところ。DDR3L-1333を採用しており、容量は2GBとなる

そして、MS-NH1-64Gの通常モデルとの大きな違いであるストレージの容量は、MS-NH1の倍である64GBとなる。媒体は同様にeMMCだ。実際に利用できる空間は約25GBから約50GBにまで増えており、多くのアプリケーションをインストールするとカツカツになってしまう通常モデルと違い、かなり余裕ができたといえる。これならば、ある程度のファイルであれば、直接本体内蔵のeMMCに記録しておけるだろう。また、Adobe製ソフトなどの容量の大きいアプリケーションの運用も可能となりそうだ。それでも足りない場合は、microSDカードを利用するといい。

内蔵されたeMMCは、プリインストールされたWindows 8.1 with Bing(32ビット)の容量を差し引いてもまだ約50GBの空きがある

64GBの内蔵ストレージで容量が足りない場合は、大きなデータなどをmicroSDカードに移動させるといいだろう

ベンチマークテストでMS-NH1-64Gの性能を確認してみよう

それでは、CPUやグラフィックス機能、メモリなどの容量は通常モデルと変わっていないため大きな変化はないと思われるが、MS-NH1-64Gが備える性能をベンチマークテストで見てみよう。計測したのは、「Windowsエクスペリエンス インデックス スコア」「PCMark」「CrystalDiskMark」の3点だ。

Windowsエクスペリエンス インデックス スコア
プロセッサ 4.9
メモリ 5.5
グラフィックス 3.8
ゲーム用グラフィックス 4.0
プライマリディスク 6.9
Futuremark PCMark8 Home Conventional 3.0
Your Home Conventional 3.0 Score 1001
Web Browsing - JunglePin 0.641 s
Web Browsing - Amazonia 0.206 s
Writing 13.63 s
Photo Editing v2 3.127 s
Video Chat v2 / Video Chat playback 1 v2 30.0 fps
Video Chat v2 / Video Chat encoding v2 376.0 ms
Casual Gaming 6.7 fps
Benchmark duration 53min 44s

「CrystalDiskMark」によって64GB eMMCのベンチマークテストを行った結果

結果は想定通りMS-NH1とほぼ同等。安価なWindowsタブレットと同じくらいの処理能力ととらえておくのが無難だ。eMMCに関しても単純に記憶領域が広がったものとみていいだろう。CPU自体の動作クロックやメモリの速度こそふるわないものの、eMMCがなかなかのスピードを見せくれるため、WebブラウジングやOffice用途などでは体感的にそれほど遅いとは感じないはずだ。フルHD程度なら動画ファイルの再生をこなすこともでき、テレビに接続した際には再生機器として活躍してくれるだろう。なお、25℃前後の室内でフルHDのTSファイルを20分ほど再生した際のCPU温度は65℃前後だった。

「HWMonitor」で確認したフルHD動画再生中のCPU温度は65℃前後。本体周辺には放熱できる余裕のあるスペースを確保しておいたほうがいいかもしれない

スティック型PCで3Dゲームは動くのか?

そもそも本機で3Dゲームを遊ぼうという人は少ないと思うが、ゲームのベンチマークテストも試しておこう。デスクトップPCでは内蔵グラフィックスでも余裕で動作する「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」を試してみたが、本機では解像度640×480でなんとか動作可能なレベルだ。ただし「艦隊これくしょん~艦これ~」や「刀剣乱舞-ONLINE-」などのブラウザゲームは問題なく動作可能。リビングや外出先でこれらのゲームを楽しみたい人には、本機が最小サイズの端末となるだろう。

ドラゴンクエストX ベンチマークソフト Ver.1.10
設定 スコア 評価
640×480【低品質】 1996 重い
640×480【標準品質】 1706 重い
1280×720【低品質】 1335 重い
1280×720【標準品質】 1037 重い

持ち運んで映像機器に直接接続できる利便性の高さがうれしい

本機の使い方は十人十色だと思うが、やはりその極小サイズを活かして持ち運び、テレビやAVアンプなどに接続して使用するのが真っ先に思い浮かぶ使い方だろう。今回は試しにプロジェクターに接続し、動画を楽しんでみた。容量が増えたためメディアファイルを直接本体に保存できる点もありがたい。

実際にリビングにあるプロジェクターにMS-NH1-64Gを接続してみた。すぐに視聴する分の動画程度なら、本体内蔵のeMMCに保存できるので気軽に楽しめる

ストレージを倍増し、高級感のある外観となったMS-NH1のプレミアムモデル

ここまで確認した通り、MS-NH1-64Gは標準モデルであるMS-NH1のストレージ容量を素直に64GBへと増量したモデルだ。ハードウェアスペックはそれ以外にまったく変更がない。一方、手のひらに収まるシンプルな筐体だけに、外観の変更によるイメージの変化はなかなか大きい。通常モデルと比べ、MS-NH1-64Gのパールホワイトは高級感が増しており、生産台数が少ないことも手伝ってプレミアム感が強い。容量が増えた分、価格は25,800円(送料・税込)と多少上がっているが、容量が増えたことによる自由度の向上は、このような端末においては価格差以上のメリットがあるだろう。MS-NH1-64Gを使用しつつ、今後さらに増えるであろうスティック型PCの用途を考えるのも楽しそうだ。

※ここで紹介した各パーツは、今回試用した機種のものです。出荷時にメーカー、型番などが変わる可能性もあります。ご了承ください。

標準スペック

メーカー マウスコンピューター
型番 MS-NH1-64G
CPU インテル Atom Z3735F
メモリ 2GB PC3-10600 DDR3L
HDD 64GB eMMC
グラフィックス インテル HD グラフィックス
OS Windows 8.1 with Bing 32ビット
LAN IEEE802.11 b/g/n対応無線LAN
インタフェース USB 2.0×1(側面×1)
サイズ W100×D38×H9.8mm(端子部含まず)
重量 約44g
価格 25,800円(送料・税込)

上記スペックは、あくまで構成の一例だ。BTOを駆使して、ぜひ自分好みの一台を作ってみてほしい。

価格・構成については、2015/3/27(記事作成日)現在の情報です。最新情報についてはマウスコンピューターのサイトにてご確認ください。