Appleの参入は業界を活性化させる
そして、自動走行を含めた自動運転カーの競合について聞かれるとGhosn氏は、余裕を見せた。EVでは「Tesla、BMWなどがEVに進出したことで、EVがより説得力を持つようになり、コンシューマーが真剣に検討するのを後押ししてくれた」と述べ、新しい市場を一緒に作っていくことがまずは必要との考えを示す。「EVの潜在性は、競争により失うものと比較するとはるかに大きい」とGhosn氏。自動運転カーも同じだ。Appleが2020年にEV進出という噂については、「業界にとって、とてもよいことだ。注意を喚起してくれる」と述べた。なお、PCメーカーだったAppleが2007年に携帯電話業界に参入したことで携帯電話市場は様変わりしたが、Ghosn氏はそのような「外部」が自動車業界に入ってくることを「活気をあたえてくれるもの」とした。
業界が変革期にある中、日産のキーワードは「協業」といえそうだ。Ghosn氏は先に発表したアメリカ航空宇宙局(NASA)との提携について、「なぜ自動車メーカーとNASAがと(意外に)思うだろう」と述べながら、NASAではロボティクス、遠隔からの制御、人間とマシンとのインターフェースなどの分野で最先端の技術開発が進んでいるとして、自動運転カー実現にあたってこれらの技術が重要になるとした。NASAとしては、火星での探査車で自動運転技術が必要であり、双方のニーズがマッチしたようだ。
Ghosn氏がもう一つ明らかにしたのが、シリコンバレーのベンチャーとの協業だ。「スタートアップと積極的に協業を行っている。自動運転では未知な部分が多く、さまざまな技術が必要。自社ですべてはできない」とGhosn氏。シリコンバレーにオフィスを構えて動向をウォッチしていると述べた。