日本でもニーズの高い製品を提供

日本ヒューレット・パッカード株式会社 プリンティング&パーソナルシステムズ事業統括 パーソナルシステムズ事業本部 ソリューション製品本部 本部長、小島順氏

日本ヒューレットパッカードの小島順氏からは、日本におけるワークステーション市場の状況と、投入予定のHP製品について説明があった。

世界では2010年からトップシェアのHPだが(ワークステーションの出荷台数)、日本では2008年から7年連続トップシェアと、世界市場に先がけて達成。昨年(2014年)は、Windows XPサポート終了と消費税の増税に伴う、駆け込み需要の反動による落ち込みが目立ったものの、直近はようやく持ち直してきているという。

また、HPワークステーション製品の顧客として、設計とDCC(Digital Contents Creation)の比率が市場全体よりも高く、潜在的には他の領域でも販売を伸ばせる余地があると分析している。

日本での特徴的な採用事例としては、以下の3点を挙げた。(1)土木現場でも3次元化を進めるCIM(Construction Information Management)の動きが出ていること、(2)アニメーションやCG現場で4Kおよび8Kの環境構築が増えていること、(3)2015年に初飛行を予定といわれているMRJ(Mitsubishi Regional Jet)の開発に採用されていることだ。

世界市場よりも早く、日本では2008年からワークステーション市場でトップ出荷数となっている。デスクトップの出荷が急減したのは、Windows XPサポート終了問題や、消費税増税の反動だという

市場全体の内訳(左)よりも、HPの顧客は設計と映像作成の占める割合が大きい。よって、他の分野でも伸ばせる余地があると判断している

日本での導入事例の紹介。土木業での採用というのが面白いところだが、世界市場に見られる資源探索の事例がまだ見当たらない

さらに、投入予定の新製品「DL380z Gen9」についても言及。HP DL380z Gen9は、Xeon E5 v3プロセッサを採用し、NVIDIAのGRID K1 / K2、Quadro K6000 / K5200 / K4200 / K2200をサポートしている2Uラックマウント筐体だ。中身はHPのサーバー製品であるが、ワークステーションの部隊が扱うため、ISV認証が取れているところが利点となる。

DL380z Gen9は、「ワークステーションの仮想化」に対する1つの答え。例えば現在、設計現場ではデータ量の増大とデータ管理が問題となっている。そこで、データセンター内に重要データを保持しつつ、処理も描画もデータセンター内で行って、クライアントに結果を表示するのが、DL380z Gen9によるワークステーションの仮想化だ。米国では前世代の「DL380z Gen8」から製品を投入していたが、日本市場ではDL380z Gen9から販売を予定している。

最後に、仮想化向けとしてHP DL380z Gen9の背景から。設計効率は上げたいが、データは守りたいとか、世界規模でどこでも動作させたいというケースを想定している。必要に応じてリソースを割り振れるのも仮想環境の強みだろう

日本でも販売する予定のHP DL380z Gen9。ベースはProLiantサーバーだが、ワークステーション部隊が扱うことに加え、ISV認証があるのが強みだ

1台のThin Client(HP t620 PLUS)を使用し、4台のディスプレイでレンダリング結果を表示させているデモ。t620 PLUSは工場オプションで最大4台のDisplayPortに対応する(標準はDisplayPort×2基、DVI-I×2基)

DL380z Gen9の内部。ここでは最上位となるNVIDIA GRID K2を使用していた。GRIDシリーズは、GPUのクラウド/仮想化を想定した製品だ。GRID K2はKepler世代のデスクトップ向けGPU×2個を搭載し、GPUをヘビーに使う環境下でのVDIを可能とする

なお、今回紹介された製品に関しては米国での発表展開であり、日本での投入はまだ決定ではないとしたうえで、日本ではスペースの関係からあまり大型の製品が望まれていないと、大型モニタの販売を行わない可能性を示唆していた。