レノボ・ジャパンは10日に、同社の法人向けノートPCブランド「ThinkPad」シリーズの2015年新モデルを発表した。これに合わせて都内で記者説明会を開催し、新モデルの特徴や従来モデルからの変化したポイントについて解説を行った。

ThinkPadは「何を持ってThinkPad」なのか

レノボ・ジャパン Think Client Brand Managerの土居憲太郎氏

詳細な製品概要を説明する前に、レノボ・ジャパン Think Client Brand Managerの土居憲太郎氏が、「企業における生産性向上にLenovoが貢献できること」と題し、プレゼンテーションを行った。

はじめに土居氏は(ThinkPadは)「何を持ってThinkPad」なのかというテーマで、ThinkPadシリーズが持つ特徴を説明する。土居氏によると、ThinkPadシリーズでは、堅牢性やパフォーマンス、セキュリティ、ユーザビリティ、管理性、共通性といったベースとなる部分のニーズにおいて、高いレベルで対応しているという。

堅牢性といった面では、米軍調達基準のクリアやおなじみの拷問テストでその品質を証明してきた。パフォーマンスやセキュリティでは、そのときどきで最新のテクノロジーを取り込んできたほか、長きにわたって指紋認証の搭載や独自のソフトウェアチューニングを続けてきた。ユーザビリティではThinkPadならではの使いやすいキーボードとトラックパッド、企業のIT管理者に受け入れられるように仕様の共通化で管理性を高めている。

ThinkPadシリーズが持つ特徴

また、そのうえでThinkPadは汎用端末ながら、豊富な周辺機器を純正で用意し、専用端末としての用途も見据えた幅広いニーズへの対応も鍵になるとしている。こうしたベースの部分、そして拡張性の部分でユーザーのニーズに応えていくことが、ThinkPadシリーズらしちば。だいすけさを形作っていく。

タブレットは新たなチャンス、一方PCは基本に立ち返っていく

続いて土居氏は、2000年以降の日本における企業向けPCの出荷台数データを紹介し、PCの出荷台数はそれほど大きく増減をしていないが、2010年から2011年にかけてタブレットが登場し、それ以降で新たなビジネスチャンスが増えているという。

今後はシンクライアントやコンテンツ表示端末、タッチ操作での簡単な入力を行う専用端末、PCではオーバースペックになる分野でタブレットが延びていくとした。

日本における企業向けPCの出荷台数のデータ。PCの販売台数はそのときどきで増減はあるが、ある水準を維持している。そこにタブレットが乗っかってくる形だ

近年、タブレットの登場により、PCからのリプレイスが進んでいるという見解もあるが、PCは大きく変わらず、基本に立ち返る形でPCならではの使われ方や生産性の向上に焦点が当たっていくとの考えを示した。

また昨今、企業の業務においてクラウドの活用が勧められつつあるが、導入している企業はまだまだ割合としては少ない。土居氏は企業のクラウド活用を進めていく上で、セキュリティや自社内で提供されているシステムとの統合や一貫性が課題となると主張する。

総務相のデータを基にした国内企業のクラウド利用状況

さらに、土居氏が企業のIT管理者と接するなかで見えてきた問題点として、複数のシステムにおける定期的なパスワード管理やデータ管理、OSやブラウザのバージョンとそれに紐付いた社内システムやアプリケーションなどがある。

IT管理者が抱える問題。喫緊の課題となるのは2016年1月に予定される「Internet Explorer 8」のサポート終了とIE8に依存した社内システムのサポート

このほか、エンドユーザーとしての立場から見れば、より長いバッテリ駆動時間や通信機能を含んだモビリティが必要となるし、スマートフォンやタブレットのような短時間での起動や使いやすさが、なぜ会社支給のPCでは実現できないのかというギャップも今後生じてくる可能性もあり、そうした変化に対応しかなければならないという。

レノボでは、こうした課題に対してこれまでThikPadというフロントの端末を提供してきたが、今後はIBMのx86サーバ事業を買収してできたレノボ・エンタープライズ・ソリューションズとの連携で、バックエンドの部分でのセキュリティやアプリケーションといったソリューションも合わせて提案していく。