省スペースを象徴するL字型

新たなPCの創出は、これらの課題解決を前提としてスタートした。

まず、ターゲットとして定めたのは、A4ノートPCユーザーの置き換え需要だ。そのため、家庭内で最も利用されているA4ノートPCの課題解決をベースに商品企画を進めていくことになった。同時に、15.6型という、A4ノートPCで標準となっている液晶ディスプレイサイズは、A4ノートPCユーザーの置き換えという観点からも、開発当初から決定していた仕様だった。

A4ノートPCの置き換えを狙うFristaは、ターゲットとなるA4ノートPCと同じ15.6型液晶を搭載

企画開発チームが最初に想定したのは、ノートPCを発展させた形状だったという。「クラムシェル形状をしていながら、液晶部分がスライドして、タッチ操作がしやすい環境に変形するといったものも考案した」。だが、変形する際に、2kgを超える本体を持ち上げる操作が必要だったり、変形させるための操作が繁雑であるといった課題があった。

デザイン案は20以上にのぼり、最終製品のデザインになったのは2014年春のこと。実に1年以上をかけて、デザインを絞り込んでいったという。

「いつも机やテーブルの上に設置して、しまわれることがないPCを目指した。そして、インテリアとしても通用するデザインにもこだわった。その結果、たどり着いたのが、L字型のフォルム。フォトフレームのように見え、PCとしての存在感を無くしたデザインが完成した」。

最終的には3つのモックアップを作ったが、たどり着いたのが、このFristaのデザインだった。

Fristaのデザインは、奥行き16cmという台座部分を持ち、そこに15.6型液晶ディスプレイがL字のフォルムでデザインされている形状だ。キーボードは本体下部に収納されており、その状態で見れば、まさに大きなフォトフレームともいえるスタイルになる。

横から見た際に、台座後方からディスプレイ上部まで一本線のように続くL字は、Fristaの象徴ともいえるデザインだ。

横からみるとL字型を描く

本体設置スペースは、A4ノートPCに比べて約40%削減。「奥行は、スマートフォン約1台分の長さ」に留めた。ただ、この「スマホ約1台分の大きさ」は、実は「キーボードサイズの大きさ」にも合致する。キーボードを本体下部に収納するという点では必要最小限の奥行きサイズであったともいえる。

奥行はキーボードサイズと同等