ソフトバンクは、ソフトバンクモバイルに吸収する形で傘下の通信4社を統合する。合併するのは、ソフトバンクモバイルに加えてソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム、ワイモバイルの4社で、これにより、携帯、固定通信をカバーする通信会社が誕生することになる。

合併前後の組織について(2015年1月23日ソフトバンクモバイル報道発表資料より)

今回の合併で、同社は「経営資源をさらに集約し、国内通信事業の競争力を一層強化することで、企業価値の最大化を図」る、としており、通信事業を1社で担うことで事業の効率化を図る。さらに「革新的なサービスの創出」、「IoT(インターネット・オブ・シングス)やロボット、エネルギー等の分野でも事業を拡大」することを狙う。

これまで、携帯事業として「ソフトバンク」「ワイモバイル」という2ブランド、固定事業として「Yahoo! BB」、ソフトバンクテレコムで固定電話・データ通信を提供してきたが、それぞれのブランドは維持し、提供してきたサービスも継続する、という。

現在、KDDIが固定・携帯事業を1社で提供しており、今回の統合で同様のFMC(固定・携帯の融合)サービスの提供がより素早くなるだろう。ただ、重複する事業をどうするかという問題もある。現時点では既存サービスを維持し、例えばソフトバンクショップとワイモバイルショップといった店舗も継続するとしており、事業の統廃合は行わないという。

合併で大きく変わること

この合併で大きく変わるものと言えば、「グループ内で所持する無線周波数帯域」。端的に言えば携帯の電波の量だ。携帯の周波数帯は、国民の共有財産として、総務省が割り当てを行っている。NTTドコモは800MHz帯、1.5GHz帯、1.7GHz帯、2GHz帯の4つで合計140MHz幅を有しており、KDDI(au)は800MHz帯、1.5GHz帯、2GHz帯の3つで計90MHz幅、ソフトバンクは900MHz帯、1.5GHz帯、2GHz帯で計90MHz幅を所有している。

これに加えて、今回合併になったイー・アクセスが1.7GHz帯に30MHz幅が割り当てられており、さらに4月以降に利用可能になる700MHz帯は、ドコモ、au、イー・アクセスにそれぞれ20MHz幅が割り当てられている。

つまり、ドコモが160MHz幅、auが110MHz幅、ソフトバンクが90MHz幅、イー・アクセスが50MHz幅の割り当てになっている。このほか、KDDIグループのUQコミニュケーションズが50MHz幅、ソフトバンクグループのWireless City Planningが30MHz幅、PHSのウィルコムが31.2MHz幅をそれぞれ保有している。

これまでグループを除くとドコモが最も多い周波数帯域を割り当てられていたが、今回の合併でソフトバンクモバイルは171.2MHz幅、グループとしてはWCPを加えた201.2MHz幅を確保することになり、最も多い周波数帯域を所有することになる。

そして契約数は、最新の数字だとドコモが6,429万5,000契約、KDDIが4,159万6,000契約(UQを除く)、ソフトバンクが4,379万1,000契約になる(WCPを除く)で、利用者数では2位のキャリアとなる。それでいながら周波数帯域は最も多いため、電波資源としては他社に比べて余裕があることになる。