台湾・GIGABYTE Technologyは、1月6~9日の4日間、米ネバダ州ラスベガスで開催された家電見本市「International CES 2015」(以下、CES 2015)において、今後市場投入を計画している新製品を多数披露した。同社はIntelがCES 2015にあわせて発表した開発コードネーム"Broadwell"(ブロードウェル)こと、第5世代Intel Coreプロセッサを搭載した、小型PCベアボーンキットの「BRIX」シリーズや、NVIDIAがCES期間中に発表したGeForce GTX 965Mを採用したゲーミングノートPCなどを発表し、順次市場投入していく考えを示した。

Broadwell搭載BRIXシリーズを発表するColin Brix氏

Broadwellを搭載した「BRIX s」のCore i7モデル

BRIX sのフロントI/Oは、USB 3.0×2とオーディオ入出力。また、Core i7モデルは上面にNFCインタフェースを備える

BRIX sの背面I/Oインタフェース。HDMIとmini Display Portの2系統のディスプレイ出力と、ギガビットLAN、USB 3.0×2ポートを備える

同社は、第5世代Coreプロセッサ搭載BRIXとして、107.6×114.4×33.9(幅×奥行き×高さ)mmの筐体を採用したベーシックモデルの「BRIX」と、筐体サイズを107.6×114.4×46.8(幅×奥行き×高さ)mmに拡張し、2.5インチHDD/SSD用スロットを備えた「BRIX s」に、それぞれIntel Core i7-5500U、Core i5-5200U、Core i3-5-10U搭載モデルを追加する。

BRIXとBRIX sの筐体サイズ

AppleのMac miniやASUSのVivoに比べてコンパクトで軽量だとアピール

Broadwell搭載BRIXのラインナップ

両製品とも、外部I/Oインタフェースは、USB 3.0×4、ヘッドホン・マイク共用オーディオジャック、GigabitEthernetポート、HDMIとmini Display Portによる2系統のディスプレイ出力と言う構成。また、DDR3L-1600に対応したSO-DIMMスロットを2基搭載するとともに、ストレージはmSATAスロットを備え、IEEE 802.11ac準拠の無線LANとBluetooth 4.0機能搭載のminiPCIモジュール(同社発表時、WebサイトではM.2モジュールと記載されている)を搭載する。BRIXsには、これらの機能に加えて、2.5インチストレージ用として、SATA 3.0ポートが一つ用意されている。

これらの基本仕様は、第4世代Coreプロセッサを搭載した現行モデルと同等だが、同社でマーケティングを統括するColin Brix氏(Grobal Marketing Director)は、「Core i7搭載モデルには、NFC機能を追加し、携帯デバイスとの連係などを図っていく」と説明。さらに、第5世代Coreプロセッサ搭載BRIXの今後の展開として、Iris Proグラフィックスを採用した上位モデルの投入も予告した。なお、BRIX Proの筐体を採用したIris Pro採用Broadwell版BRIXは、Intelブースにコッソリ展示されていた。

BRIXのCore i7モデルに搭載されるNFC機能では、最大8つのプロファイルを設定できると言う

Broadwell世代のIris Proグラフィックス搭載製品の投入も予告

Intelブースに展示されていた、Iris Proグラフィックス搭載のBroadwell版BRIX Pro

Iris Proグラフィックス搭載のBroadwell版BRIX Proの背面I/Oインターフェース。その構成は通常版と同じだ

Brix氏は、第5世代Coreプロセッサ搭載BRIXのベンチマーク結果も公開。Core i7搭載モデルでは、CPU性能で76%のパフォーマンス向上を果たし、全モデル共通となるグラフィックス性能でも20%の性能向上を果たすとアピールした。

Broadwell世代のBRIXとHaswell世代の現行BRIXのCPUパフォーマンス比較。Core i7モデルでは、76%のパフォーマンスアップを実現するとアピール

Broadwell内蔵グラフィックスのパフォーマンスも、約20%の性能向上を果たすと言う

GIGABYTEはまた、同社のゲーミングブランドである"AORUS"から、NVIDIAの最新GPUであるGeForce GTX 965MをSLI構成で搭載するとともに、4K解像度のIGZOディスプレイを採用した15.6インチゲーミングノートPC「AORUS X5」を発表した。同製品は、厚さ22.9mm、重さ2.5km以下の筐体にIntel Core i7と2基のGeForce GTX 965Mを搭載する、スリムかつパワフルなノートPC。また、同社製品の特徴でもある、3基のmSATA SSDスロットを備え、最大1,500MB/secのストレージパフォーマンスを実現するRAID Xpressにも対応する。

同製品に搭載されるNVIDIAの最新GPU、GeForce GTX 965Mは、GeForce GTX 980Mなどと同じGM204コアを採用し、CUDAコア数は1024基、メモリインタフェースは128bit幅としたGPU。ただし、動作クロックはGeForce GTX 970M(1280コア/192bitメモリインターフェース)の924MHzよりも高い944MHzに設定され、GIGABYTEでノートPCのマーケティングを担当するClaire Tai氏(Marketing Manager)によれば、GeForce GTX 965MをSLI構成で2基搭載するAORUS X5のグラフィックス性能は、シングル構成のGeForce GTX 980Mを搭載するノートPCよりも約15%高く、3DMark 11のスコアにしてP12000を発揮すると、その性能の高さをアピールする。なお、AORUS X5の発売時期は今年第2四半期とされ、搭載CPUの詳細は明らかにされていない。

また、同社は13.3インチのQHD+(3,200×1,800ピクセル)液晶を搭載し、GPUにGeForce GTX 970M/6GBを搭載しながら、1.8kg以下という"世界最軽量"を謳うゲーミングノートPC「X3 Plus」も発表。こちらはCPUに第4世代Coreプロセッサを採用し、1月下旬に米国市場に投入予定で、市場想定価格は2199ドル前後と見られている。

AORUSの新ゲーミングノートPCラインナップ。左から「X3 Plus」、中央がIGZOディスプレイを採用した4Kノートの「X5」、右が既にヨーロッパで発売中の17インチノート「X7」

AORUSのゲーミングノートPCの特徴の一つでもあるマクロキー。液晶部分に、GeForce GTX 965MのSLI構成を示すステッカーも見て採れる

ゲーム性能を最大限に引き出すための設定を一つにまとめた「Command & Control」ユーティリティ

また、同社はGIGABYTEブランドのゲーミングPCとして、最大8GBのビデオメモリを搭載したGeForce GTX 980Mを内蔵し、最大512GBのmSATA SSD×と2TB HDD×2を備えながら22.5mmという薄さを実現した17.3インチノートPC「P37X」と、同様の構成を採用した15.6インチノートPC「P35X」、mSATA HDD+2TB HDD構成にGeForce GTX 970Mを搭載し、厚さ20.9mm、重さ1.71kgの薄型・軽量ボディを実現した14インチノートPCの「P34W v3」などを発表。米国市場では、1月下旬より順次市場投入する意向を示した。

GIGABYTEの新ノートPCラインナップについて説明するClaire Tai氏

GIGABYTEの新しいゲーミングノートPCラインナップ

最上位モデルのP37は、GTX 980M搭載モデルとしては世界最軽量を謳う

GIGABYTEのゲーミングノートPCのフラグシップモデルとなるP37。AORUS製品同様、マクロキーが装備される

15.6インチ液晶を採用したP35 v3

一方、マザーボードでは液体窒素などの極冷オーバークロック用途向けに、同社のフラグシップマザーボードとなる「GA-X99-SOC Champion」を発表した。同製品は、究極のオーバークロック性能を発揮できるようにすべく、チップセットやCPUの特性を活かせる最低限の機能実装にとどめるとともに、CPUソケットやメモリスロットへの配線長などにこだわって開発されたIntel X99マザーボード。

最大の特徴は、ほかのIntel X99マザーボードとは異なり、究極のメモリオーバークロック性能を実現するため、メモリスロットを各チャネルとも1スロットとすることで、CPUとメモリスロットの配線長を最短距離で結び、より高速かつ安定したメモリ動作を実現すること。本製品の発表に先駆け、GIGABYTEでは海外の著名オーバークロッカーとともに、オーバークロックの世界記録挑戦を繰り返しており、4GHz(4000MHz)を超えるメモリクロックなどの世界記録更新を果たしている。

極冷オーバークロック用フラグシップマザーボード「GA-X99-SOC Champion」

メモリチャネルあたり1スロットとしたことで、CPUとメモリスロットを最短で結んでいるため、メモリまわりのパフォーマンスを追究しやすいと言う

GA-X99-SOC Championで達成した新記録の数々

DDR4メモリクロックは4014.6MHzをクワッドチャネル構成で達成

CES期間中にメモリクロックを4184MHzまで高めた。このときのメモリはCorsair製

CES期間中に、Intel XTUも新記録を樹立

Brix氏によれば、「オーバークロッカーのフィードバックを製品版に反映し、BIOSのチューニングやハードウェアの小変更を加えるのに時間がかかったため、昨年9月のIntel X99チップセットから3カ月以上経っての正式発表になった」と説明する。また、「CPUソケットやPCI Express x16スロットの接点部(ピン)には、通常のマザーボードと比べて6倍の金を用いた金メッキを施し、伝導性を高めている」ともアピール。

GA-X99-SOC ChampionではLGA2011-3ソケットの有効ピン数を2011ピンから2083ピンに切り換えることで、CPUコアやメモリスロットに、デフォルトではサポートされていない電圧供給を可能にする機能などにも対応する。むろん、極冷向けということもあり、各種電圧を測定できるようにする端子をオンボードで備えるほか、Dual BIOSの特性を活かし、BIOS設定をスイッチひとつで切り換えられたり、容易にCMOSクリアができるようにするスイッチなども装備する。なお、同社は同製品の市場想定価格や発売時期については明らかにしていない。

GA-X99-SOC Championの背面I/O

24ピン電源コネクタまわりには、各種電圧測定用の端子や、BIOS設定切り換えスイッチなどが並ぶ

CPUソケットの有効ピン数を2083ピンに切り換えるスイッチ。デフォルトではサポートされていない電圧設定が可能になると言う

通常の6倍の金メッキが施されたというCPUソケット

20GbpsのM.2スロットを装備。同機能と排他となるSATA Expressポートも1基備える

左側のGA-X99-SOC Championでは、メモリスロットにはSMTライン専用スロットを用いたことで、背面にピンが飛び出していないことが分かる

PCI Expressスロットへの給電を強化する6ピン補助電源も搭載