VoLTEの普及の課題

VoLTEの高音質化は、特に高音域で顕著だが、実際に一度使ってみると明確に分かるレベルで音質が良くなる。テレビ電話やKDDIのシンク機能のように、LTEの高速通信を併用したサービスも期待できるだろう。

とはいえ、それでVoLTEが一般に普及するのは難しい。あくまで音声通話であり、音声通話が常に必要な人ばかりでもない。昨今では、VoIPによる一時的な通話で十分という人もいるだろう。テレビ電話はもとより、シンク機能も、携帯キャリアではない企業のOTTが同様のサービスを提供することは可能だ。もともとVoLTEの規格策定の段階から、業界にはそうした状況に対抗する必要性が検討されてきた。

とはいえVoLTEは、現時点で他社との相互接続やローミングに非対応であり、同じ会社の対応端末同士でしか高音質通話やテレビ電話、シンク機能などが利用できないため、現状のサービスとしては不十分。

対応端末が増えれば、自然とVoLTEに移行していくとはいえ、それだけでは「音声が使われないのに音声定額制で料金だけがかかる」ということになり、ユーザーの理解も得にくい。

このため、携帯キャリアは相互接続や対応端末といったベースの機能拡充とともに、単なる音声通話だけではない機能の実装が必要になる。その意味では、KDDIの各種シンク機能はチャレンジとしては面白い。今後、こうした取り組みがさらに必要になるだろう。