スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ち、様々な部品や技術が搭載されています。そんなスマートフォンのカタログを見たときに、専門用語 のオンパレード……と思ったことはないでしょうか。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「サファイアガラス」についてです。

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ほぼすべてのスマートフォンが、ディスプレイ表面に透明なガラスを貼っています。タッチ式が半ば前提とされているだけに、安定した誘電率と高い電気絶縁性を求められることはもちろんですが、キズが付きにくい/割れにくいという"タフさ"も求められています。

そのタフさで注目されているのが「サファイアガラス」です。高純度のアルミナ(α-Al2O3)を人工的に巨大結晶化したもので、アルミナとシリカを主成分とする一般的な化学強化ガラス(アルミノケイ酸ガラス)とは組成が異なり、正確には「ガラスのように無色透明なサファイア」といえます。

サファイアガラスの特徴は、「硬度」と「強度」です。宝石のサファイアと変わらない化学特性により、引っかきキズが付きにくいうえに割れにくく、耐摩耗性にも優れています。アルミノケイ酸ガラスと比べると製造コストは嵩みますが、そのタフさはスマートフォンに適しています。

タッチディスプレイの表面以外では、すでにスマートフォンへの導入が進んでいます。iPhone 6/6 Plusはその好例で、リアカメラのレンズ部分とホームボタンの素材(Touch IDセンサーの保護用)にはサファイアガラスが採用されています。

タッチディスプレイ表面での採用も期待されますが、2014年12月現在サファイアガラスを採用した端末は日本国内で発売されていません。しかし、米国では4.5インチ液晶表面にサファイアガラスを採用した「Brigadier」が8月に発表され、いよいよディスプレイでの採用が始まりました。日本でもサファイアガラス採用端末が発売される日は、そう先のことではないでしょう。

米国市場では京セラ製端末「Brigadier」が発売、ディスプレイ表面にサファイアガラスを採用する端末は今後増えそうです