説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「iPhone 6の背面にある線はなんですか?」という質問に答えます。

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iPhone 6/6 Plusの背面には、上下に「線」が巡らされています。真上から見ると、上下の端近くの縁取りに見えますが、側面を通って前面に達しており、なにかの意図をもって巡らされていることがうかがえます。シルバーモデルは薄いグレー、ゴールドモデルは白、スペースグレイモデルは若干濃いグレーと、それぞれのボディカラーと違和感がないよう色が変えられています。

この線は通称「Dライン」と呼ばれ、iPhone 6/6 Plusのアンテナの役割を果たしています。金属素材で覆わず樹脂製のラインを引くことで、電波の通り道としたわけです。iPhoneは3G/LTEのセルラー回線、IEEE 802.11acなどのWi-Fi回線、そしてBluetoothとさまざまな形式/周波数帯の電波を利用しますから、その意味では技術的な要請の結果といえるでしょう。

電波を妨げないことがDラインを設けた目的ですから、これを覆うような形状の金属製ケースを装着すると、受信感度が低下する可能性があります。実際、iPhone 6/6 Plus向けの金属製ケース(バンパー型除く)は、Dラインの上にくる部分にひと工夫くわえたものが多く見られます。

デザインの面からは賛否両論あるようです。指で触れるとわずかに段差を感じる程度の精巧なつくりで、汚れが付着しにくい素材が採用されていますが、背面の一体感を損ねていることは確かです。とはいえ、Dラインを採用しないのであれば、iPhone 5/5sのようにガラスパーツを採用するなど背面の素材を再検討しなければなりません。次のiPhoneがどのようなデザインになるかは不明ですが、金属製素材を用いるかぎり、なんらかの"電波対策"は引き続き講じられることでしょう。

iPhone 6/6 Plusの背面にある樹脂製の線(Dライン)は、電波の受信感度を低下させないために設けられています