シャープの液晶テレビの売り場提案はこれだけではない。液晶テレビの買い換え需要をターゲットとしたインチアップ提案も、今年の年末商戦の重要な柱のひとつに位置づけている。

シャープが今年打ち出すのは「縦横無尽」の販売促進提案

ここに「縦横無尽」という、今年の同社の販売提案のキーワードが隠れている。「縦」という切り口では、画面の高さを考えたサイズ選びを提案する。2006年に発売された46型液晶テレビの「LC-46GX1」は、高さが853mm。アンダースピーカーが配置されているため、現行モデルよりも高さがあるのが特徴だ。

これを52型の最新モデルに置き換えた場合には、高さが772mmとなり、インチサイズが大きくなりながらも、高さを低く押さえられる。狭額縁化による成果だといえる。

インチサイズアップに際しての狭額縁化による錯覚

【上】「縦」の提案によって後悔しないインチアップを提案する 【下】「縦」の提案事例ここでは、46型から60型への買い換えを提案している

しかし、スペック上はインチアップしたものの、実際に比べてみるとそれほど画面が大きくなったという印象がないのも事実だ。「スペックを重視するお父さんの場合はインチアップしたという感覚を持つが、スペックを気にせず見た目で判断するお母さんの場合には、それほど大きくなったという感じがしない。むしろ、高さが小さくなった分、画面サイズは変わらないとさえ感じる場合もある。感覚的に大きくなったと感じるのは60型。高さは902mmと高くなるが、(設置に際する)高さの許容範囲は大きい。画面の大きさを感じ、さらに迫力の違いを感じてもらえる。後悔しない画面選びをしてもらうための提案」だとする。

スペック上はインチアップになったとしても、迫力のある画面を楽しんでもらうために60型以上を勧めたいというわけだ。

シャープでは、買い換え対象となる2004年~2009年に発売した液晶テレビのサイズ一覧を、早見表として販売店に提供。これと見比べながら、いま使っている液晶テレビのスペースに、インチアップさせながらも、最新のテレビが収まるかどうかを検討できるようにしている。

【上段左】46型液晶テレビから、52型液晶テレビへの買い換えはそれほど画面が大きくなったとは感じない 【上段右】だが、60型へと買い換えると画面から受ける迫力がまったく違う。高さは5cmだけ高くなる 【下段左】迫力が違う60型への買い換え提案を行う 【下段右】2004年~2009年にシャープが発売した液晶テレビの早見表を配布して同じスペースに設置できるかを知ることができる

一方で「横」の提案では、7~8年前に主流だった37型薄型テレビからの買い換え提案に取り組んでいる。2006年に発売した37型液晶テレビ「LC-37GX2W」の場合には、サイドスピーカーを搭載していたこともあり、横幅は1,109mmのサイズとなっている。これを46型の現行モデルに買い換えた場合は横幅が1,061mmとなり、「縦」の提案同様に、筐体を小さくしながらインチアップが図れる。しかし、やはり並べてみると大きくなったという印象が薄い。

【左】横幅からのサイズ選びでも後悔しない購入を提案 【右】「横」の提案事例。7年前の37型液晶テレビから、52型液晶テレビへのインチアップを提案

「実際に、量販店店頭に7~8年前の製品を横に並べて比較するということができない。しかし、合展や個展で並べてみると、スペック上のインチアップに比べて、見た目にはインチアップしていると感じないことが多い。縦の提案同様に、横の提案についても、迫力がある画面サイズにしてもらう、後悔のない購入につながることを心がけたい」とする。

そこで、「横」の提案としてシャープが用意するのが、37型から52型へのインチアップだ。7~8年前の37型液晶テレビが1,109mmであったことに比べると、約7cm横幅が広がり1,178mmとなるが、画面が感じる迫力の違いはひと目でわかる。

そして、7cmの広がりという点にも、実は大きな意味がある。「当時の37型液晶テレビを購入した人の多くは、横幅1200mmのオーディオラックの上に配置している。1,200mmのラックに乗せている家庭では、1,178mmの52型液晶テレビをそのまま置くことができる」と、居石氏は語る。

【上段左】37型から46型へのインチアップ提案はそれほど大きくなった印象がない 【上段右】1,178mmというサイズは横幅1,200mmのオーディオラックに設置できる大きさだ 【下段左】37型からの買い換えは15インチアップの52型液晶テレビを感動サイズとして推奨 【下段右】シャープでは「画面面積2倍」を買い換えの法則として提案する

ここに「横」の提案のポイントがある。この提案においてシャープは、買い換え時の画面面積は2倍以上という法則を打ち出し、現在使用しているテレビの画面サイズの2倍以上は、どのインチサイズかがわかるような資料を用意した。

このように、シャープは今年の年末商戦において、縦と横をキーワードにした「縦横無尽」戦略を展開していくというわけだ。国内トップシェアを持つシャープの液晶テレビ提案は、テレビ画面の大型化と4K化を促進するという点で効果を発揮しそうだ。